2011年10月29日

ハロウィンSS──蒼灯×椎奈(創作)


ハロウィンSS第三弾は創作より。
蒼王蒼灯と椎奈です。

椎奈はハロウィンが大変苦手なんですが……
果たして今年は無事に過ごせるのか。
(ROのSSに登場する「椎奈」のモデルでもあります)



では、続きを読むからお進みください。

2010年10月27日

ウェディング・ベル・ナイトメア


「依皇さん?」
「いいから、今は俺の言うことを聞いてくれるかな? 水」
「……別にそれは構わないんですけど」
 渋々と不可解を程よく半々にミックスした感情を隠さずに浮かべた顔で、水が依皇を見上げた。
 にこにこといつも以上に口角を上げて笑顔を浮かべる依皇が起きて口にした第一声──それは「水、俺の為にウェディングドレスを着てくれないか?」だった。
 寝起きなのもあってぽかんとしていた水の返事を聞く前に、あれよあれよと依皇は水にぴったりのドレス一式を準備し、揃いの指輪を用意して、水の手に花束を握らせた。一体どこから持ってきたのか依皇自身も真っ白な礼服に身を包み、あっという間に水も着替えさせた。
 ──そして今に至る。
「けど?」
「理由。教えてください」
 所要時間、約一時間。朝食も無しにこれである。それが証拠に、水のお腹が空腹を知らせるように元気に鳴いた。
 いつもならば水に食事を作るのが好きな依皇が特製の朝食を用意し、二人ゆっくりとブレックファストを楽しんでいるはずなのに、どうしてこうなったのか。 
 巻き込まれている当事者である水には当然理由を聞く権利があった。
 が、脳に春が来ているかのように笑顔を絶やさない依皇の口から出た言葉は、水の頭を抱えさせるのに十分だった。 
「水が可愛いから」
 ドレス姿に満悦している様子の依皇は、ヴェールを持ち上げて水の頬に軽くキスを送る。
「そんなので誤魔化されませんっ!」
 急にこんなことをすれば、いくら普段から依皇の突発的な行動に慣れている水でも驚かないわけはない。嬉しいとか嬉しくないとか、そういう次元の問題ではないのだ。
 本気で説明を求めている水に、初めて笑顔を翳らせて心底困った顔をした依皇は、花嫁姿の水を正面からヴェールごと抱きしめ、その肩にこつんと額を乗せた。
「……実は」


 これが夢だというのは、依皇には判っていた。
 何故なら目に映る光景が現実であるならば、恐らく自分は生きていないからだ。こうなる前に水もろとも命を絶つだろうと、依皇は己の性格を冷静に分析した。
 決して見るはずのない、見たくない光景。それなのに依皇は何故か目を離せずにいた。
 深海のように青く透明さを感じさせるドレスを身にまとった水が幸せそうに微笑んでいる。
 天から祝福の鐘が鳴り響き、二人の前途を祝う花のシャワーが舞った。
 指にはめられている豪奢な指輪に愛しそうに口づけ隣に佇む誰かの腕を取って愛らしく寄りかかる。
 見ていることしか出来ない依皇は、体中の血が沸騰しそうなほど猛り狂っているのに、一切の力が解放されない。幸せそうな水の姿だけが目に、そして心に入ってくるのだ。
 早く覚醒めなければ。このままでは、恐らく隣で安らかな寝息を立てている現実の水を無意識に攻撃してしまいかねない──
 そこで、依皇はようやく目を覚ました。否、自力で悪夢から脱したのだ。
 強く握った手の中にくすぶる『力』を自覚し、慌てて沈静させる。不幸中の幸いか依皇の『力』は暴走せずに済んだ様子で、水は心身ともに無事だった。


「……で?」
 口調から水の額に怒りマークが見えている気がする、と依皇は心中で水に頭を下げる。
 搾り出すような口調で夢の内容を一気に語った後、依皇は顔を上げずに──というより、気まずさから顔は上げられなかったのだが──呟いた。
「水に、俺の為にドレスを着ている姿を見せて欲しかった。あれは夢だったのだと判っていても、水が他の誰かに奪わ……れ、る……なんて耐えられない。だから現実の水で記憶を上書いてしまいたかった」
 言葉の途中苦しそうに息をのみながらも依皇は事情を吐露した。
「すまない、水」
「何で謝るんですか?」
 依皇の額を肩に乗せたまま、水は依皇の首に優しく腕を絡める。
「……水?」
「あ、最初から事情を話してくれなかったことはちゃんと謝ってください。それ以外なら、気持ちは判りますから。それに、依皇さんがそうやって苦しんでいたのは、それだけ俺を想ってくれているからでしょう?」
 だからいいです、と微笑んだ水の背中に腕を回した依皇は、その腕に力を込める。
 辛い夢を通り抜けたそこには、幸せな現実があるのだ。この腕に感じる愛しさは本物なのだと、感触を貪るように依皇はひたすら水を抱きしめていた。
「次は、言うようにするよ。正直そんな余裕もなかったんだけどね。とても現実のような夢だったから」
「俺も多分、そんな夢を見たら……どうなるか判りませんから、おあいこです」
「そのときは、夢なんて忘れられるほど可愛がるから安心していいよ」
「……でしょうね」
 いつもの調子に戻ってきた依皇に半分呆れ、半分安心した水が何かを思いついたように顔を上げた。
「そうだ、依皇さん。辛いこと思い出させてすみませんが、これだけ教えてくれませんか」
「ん?」
「その、俺の相手って……誰だったんです?」
 首を傾げる水の額に口づけてから、依皇は悪戯っぽく笑う。
「内緒」
 答えを貰えず不満そうな水に、内心依皇はごめんと呟く。
 別に言って差しさわりがあるわけではないのだ。ただ、依皇が気まずいだけで。
 ──かつての自分に妬いて暴走しかけただなんて、言える訳がない。
 依皇が現在の姿に転生する前。つまりかつてこの邪翼が健在だった頃の自分に現在の水を連れて行かれそうになった夢を見てこんな事態になったのだと、依皇がそう告白できるにはまだ時間が必要そうだった。

2010年08月30日

想い出。(総覗&白狼)


 湖と呼ぶには小さく、池と呼ぶには大きい水辺のほとりで膝をついていた白狼は、深いため息を吐く。
 この時期にはなかなか姿を見かけない薬草が急遽必要になったので、日課である薬草摘みに合わせて探しに来てみたものの、やはりどこにも見当たらない。
 何とか見つかればいいのだが、そう簡単にはいかないだろう。
 その薬草は治療に必須というわけではないのだが、あれがあるとないでは苦痛の軽減度がまったく違う。流行り病ではないはずなのだが、先日同様の症状が出た患者に作り置きしておいた分を使ってしまったのが痛い。
 気を入れなおして再び目当ての薬草を探し始めた白狼の躯が不意に陽射しから隠れる。
 少しばかり顔を上げると、見慣れた足が目の前に立っていた。さらに視線を上げていくと、そこには予想通り精悍な造作の顔に爽やかな笑みを浮かべた幼馴染──総覗がいた。
「薬草摘みか」
「見ての通りだ。それに、ちょっと厄介な熱を出してるのがいてな。熱さましにいい薬草があるにはあるんだが、この時期はなかなか生えてない。そいつをどうにか見つけないとってわけだ」
「手伝うぞ」
「それはいいけど総覗、お前に要る草がわかるのか?」
「教えてもらえれば、それくらいは」
「なら、わかり易い方を頼む。ここ見てくれ。こんな風に根元に筋が入っている、背の低いものを選んで摘んでくれ。俺は熱さましに要るほうを探す」
「了解」
 頷いた総覗はその場にしゃがみこんで白狼が指示したとおりの薬草を摘んでいく。
 基本的に白狼は他人に薬草摘みを任せない。ヘタに関わらせると、有用だとわかった草を見境なく積んだ上に売り払ったりされる恐れがあるからだ。仲間とはいえ金銭が関わることなのでそのあたりは十分に注意を払っている。
 総覗の場合、そんな心配もないから気軽に頼むことが出来るのだ。
 二人ともしばらく無言でいたが、ふと総覗が体を起こして白狼に呼びかける。
「なあ白狼、この花って見覚えないか?」
 総覗の手に握られていたのは、小さな白い花弁が集まって球状となっている花だった。
「覚えてるさ。昔、器用に花輪作ってたよな」
「ああ、やっぱり」
 白い花をじっとみつめ、総覗が懐かしそうに目を細めた。
 懐かしい話だ、と白狼もその花に纏わる記憶に思いを馳せる。
 それは彼らが物心つくかつかないか、そんな頃の話だ。
 周囲の女性達が茎を器用に編みこんで花輪を作っていた。首にかけたり、頭を飾ったりしているのを見て、二人も花輪を作りたがった。
 今でこそ薬師として弓師として充分に器用な白狼だが、当時は花輪ひとつもうまく作ることが出来ず、完成できたのは総覗だけ。自分の分が出来ずに口をへの字に曲げていた白狼の頭に、俺のをやるよと言って総覗はできたての花輪を載せた。
 暫し瞳を閉じて幼い頃の思い出に浸っていた白狼の頭に、ふわりと何かが載せられた。
「総覗?」
「男が花で飾っても別にいいな」
 白狼が思い出に浸っている間に総覗は、あの頃作ったものとは少し違う造りの、花の数を減らし簡略化してささっと作り上げた花輪を白狼の頭にのせたらしい。
 満足げに頷いた総覗に白狼はわざと大きなため息を吐いた。
「こういうことするなら、もう手伝い頼まないぞ」
「え?」
「この花も薬草なんだ。無為に摘んでほしくない」
「そうか、それはすまなかった」
 素直に謝って総覗が頭を下げる。
「昔は効能が判明してなかったから気軽に花輪に使ってただけで、今は大事な薬草なんだ。ま、次からやらなければいいさ」
「でもな、白狼」
「何だ?」
 顔を上げた総覗が晴れやかに笑いかける。
「この花たちは、お前を飾れて喜んでると思うぞ。こんなに似合っているんだからな」
「……」
 これだから、こいつは──。
 喉元まで出掛かった言葉を辛くも飲み込んだ白狼は、肩を落としてため息を吐くに留める。
「馬鹿言ってないで、さっさと摘んで戻ろうぜ」
「ああ」
 頷いた総覗が再び腰を落とし薬草探しを再開する。
 もう一度、今度は小さくため息を吐いてから。頭に花輪を載せたまま、白狼も薬草摘みを再開した。

2010年08月28日

誰のために。(総覗&白狼)


 どこまでも広がる草の海を二つの影が走り抜けていく。
 常人とは思えない速度で抜きつ抜かれつしながら、二人──総覗と白狼は遠方の大樹へと向かっていた。
 その根元にはあらかじめ赤い木の実がなっている枝が地面に突き立てられ、そよぐ風に揺らいでいる。
 少しばかり早く大樹に到着した総覗が、その枝を軽々引き抜いた。
 その僅か後にたどり着いた白狼が負けたことを悟って悔しそうに舌を鳴らすと、額に浮かんだ汗を手の甲で拭ってから草の上へ仰向けに寝転び、透き通るような青空を見上げた。
 長い黒髪を結っていた紐が解け、流れるような漆黒が草むらに広がる。
「やっぱり走るのはお前に敵わないな」
「この距離が俺に有利なだけだ。長距離なら白狼、お前のが早いだろうし。大体今のは結構僅差だったぞ」
「どうだかな。謙遜も過ぎると嫌味だぜ、総覗。たとえ距離が違おうと、駆け足でお前に敵う奴はいやしないさ」
 大樹に寄りかかって涼しそうに風を受けている総覗を見上げ、白狼は大きく息を吐いた。
 実際、駆け足で総覗に勝てるとは思っていない。ただ鍛錬は怠りたくないので毎日こうして競争の誘いをかけている。
 負けるとわかっていてももちろん悔しい。が、能力の差は天賦のものなのでいかんともしがたい。
 努力だけでは総覗の背中に追いつけないのだ。
「そんなつもりはなかったんだが、悪かった」
 困ったように笑う総覗を見て、少し言い過ぎたと感じた白狼は気まずさを隠すように手近の葦を引き抜いて口に銜えて瞳を閉じた。
 白狼の隣に腰を下ろした総覗は、到着点に用意しておいた水入りの皮袋を口にして喉を潤す。
 ふう、と息を吐いた総覗は水の入った皮袋を白狼の頬に当てた。
 何をするんだという表情の白狼がゆっくりとまぶたを開けると、そこには迷いのない総覗の瞳が至近距離にあった。
「何だよ」
「白狼。俺は、お前の薬も弓も頼りにしてる」
「知ってるさ。それでも、俺は少しでも強くありたいんだ」
「今のままでも十分だってのに、何がお前をそうさせるんだろうな」
 遠くを見やる総覗に、お前が知るわけないと白狼は内心毒づいた。
 自分の属する集団の頭領を継ぐ立場の総覗。白狼はそれを補佐する者として万能でありたいと願っているだけだ。
 さまざまな薬を調合することも、仲間内の動向を把握することも、弓の腕を磨くことも。
 そして総覗の背中を守るためには、そこに追いつけなければ意味がない。故に白狼は鍛錬を続けている。
 つまり全ては総覗のため──なのだが、当人を目の前にしてそれを言うのは流石に照れくさい。
「……さあな……」
 小さくつぶやいた白狼の言葉に、総覗が無言の微笑みで返した。

2010年06月01日

メガネスーツ


「おはようございます貎珂(げいか)。ちょっとつきあってくれませんか?」
「……あん? え、俺?」
「ええ」
 東京、代々木。駅周辺の喧騒から数歩中に入った、閑静な住宅街の一角にあるその家を訪れた客は、玄関先に現れた家人の姿を見るなり、見る者に有無を言わせない穏やかな笑みを浮かべた。
 と言っても突然の来客を迎えた彼──貎珂は、正確にはここの住人ではなく、名義はとある有名アーティストとなっているのだが。
 来客の少年──リュウは、東京は今日も朝からじめつく暑さだというのに、汗ひとつ流さない涼しげな顔で、さらりと流れる髪を耳にかき上げた。実年齢は確かに中学三年生の筈なのだが、白のカッターシャツに麻のサマージャケットを羽織り、スカイブルーのネクタイを締めたその姿は、年齢を忘れるほど堂にいっている。
 返答が是であることがさも当然のように頷いてから、貎珂の返事を待たずに「では行きましょう」と貎珂の腕を取る。
 状況を飲み込めない貎珂が空いた手でリュウの肩を掴み、そのまま出発しかねないリュウの躯を引き留めた。
「ちょっと待てリュウ。今から行くのか?」
「ええ、今から」
 だからなんですか、とリュウは頷く。
「格好なら問題ないでしょう。それで外に出れば、十人中十人が振り返ることを保証しますよ」
「そりゃ俺なら当然だし。って問題はそこじゃねえから」
 リュウの指摘どおり、現在貎珂がしている格好は、外出をするのに『一応』問題はない。
 黒のスーツに赤のネクタイ。一見モデルかと見まごう整った顔立ちをした、おまけに長身でスタイルの良い金髪碧眼の青年がそんな格好をして歩けば──十中八九、歩いている人は振り返るだろう。ただ、衆目を引くのが嫌なわけではないが、一々声をかけてくる人間にかかずらって足を止められるのが面倒くさいのだ。
 リュウの肩から手を離し、かけていた伊達メガネを外して弄びながら貎珂は肩をすくめた。
「順序だてて話せって。そしたら、理由によっちゃ付き合ってやるから」
「簡単なことです。俺は出かけたい、そして貴方に付き合って欲しい。それ以外に説明の必要が?」
「アウルは知ってんのか」
「ええ。最初は自分が行くと言っていましたが、俺が付き合って欲しいのはあくまで貎珂だと言ったらおとなしく見送ってくれましたよ」
「……お前なあ」
 実際にその様子を見ていないかかわらず、二人のやりとりがまざまざと目に浮かんだ貎珂は片手で頭を抱える。
 仮にも恋人──アウルに対してその物言いはだろう。どうせまた何か企んでるのか知らないが、普段自分からあまり言い出せないあのアウルが一旦は一緒に行きたいと口に出して言えたのに、それをあっさり拒否するとは。しかも理由を教えずに。
 今頃どん底の更に底あたりまで落ち込んでいるだろうアウルを思い、他人事ながら貎珂は同情を寄せる。
「何か言いたそうですね」
「判ってんならアウルと行ってこいよ」
「貴方こそ判っていませんね、貎珂。俺は『貴方に付き合って欲しい』んです」
「だからその理由を言えっての」
「目的地に着いたら話します」
 頑として今は言いたくない──リュウの表情がそう語っていた。
 朝からなんでこんな面倒なことに、と貎珂は内心愚痴をこぼす。アウルもリュウも大事な仲間ではあるが、二人の間に立たされるのは色々とパワーがいるのだ。
 自分から何かを解決しようと立つならともかく、今回は一方的に巻き込まれているのである。少々の愚痴も仕方ない。
「向こうでも言えるなら、ここでだって良いだろーが。それともなにか、戒や蒼灯に聞かれちゃ不味いのか?」
 部屋の奥でブレックファーストをとっている二人に聞かれたくないなら仕方ないけどと貎珂は頭をかく。
 あまりに困り果てた様子の貎珂を見て流石に考えを改めたのか、リュウが重い口を開いた。
「確かに、あまり聞かれたいないようではありませんが、別段聞かれて困る内容でもありません」
「んじゃなんだよ」
 子供のように首を傾げ、貎珂は頭ひとつ近く身長差のあるリュウの顔を覗き込んで、唇に耳を寄せた。
 たっぷり一分ほどの沈黙を経て、ようやくリュウが口を割る。
「……そのスーツと伊達眼鏡を買った店に連れて行って欲しいんです。もしくは、似たデザインが置いてある店に」
「……は?」
 姿勢を正した貎珂の瞳に、顔色一つ変えないで、僅かに視線をそらしながら話を続けるリュウの姿が映った。
「ですから、貴方に付き合っていただきたいんです。物を渡す当人など連れて行けるはずも無いでしょう。それが理由です。さ、この答えでご満足ご納得いただけたならさっさと行きませんか。時間を無駄にしたくは無いので」
 早口でそこまで言ったリュウが、呼吸を整えてから貎珂を見上げる。
 今朝、一番最初に玄関で見た、作った笑み。
 だがその笑みの裏側に見え隠れする感情を敏感に読み取った貎珂は、にやりと口角を上げた。
「オーケイ、いいぜ。すぐに支度するから待ってな。とびっきりの服選ぼうぜ」
「……軽口は結構ですから、どうぞ支度を」
「おう。んじゃ軽く鏡見て財布取ってくる」
 相変わらず素直じゃない──それなら一肌脱いでやろうと、貎珂は心の中で二人の間に立つ。
 それは貎珂にとって既に、決して面倒なことではなかった。