2013年10月02日

緑黒で四季彩々(十月)

表題通りですが、緑黒で四季彩々、十月です。

緑黒の十二ヶ月を短編で書いてみようという、その第十弾です。
まったり十二編、紡いでいけたらいいなと思っております。

一〜三月、四〜六月、七〜九月はサイト内とpixivにございます。


とても短いですが、一応女性向けなので本文は折り畳みで。

年初からまったり始めました企画も、もうあと二ヶ月を残すのみなのですね……。
来年も何かやってみようかと今からまったり思案中であります。


【October】



「緑間君、緑間君。Trick or Treat?」
「ああ、今日はハロウィンか――だがもしも俺が両方だと言ったら、お前はどうするのだよ」
 返ってきた意外な答えにきょとんと目を瞬かせた黒子は、隣で読書を続ける緑間を見上げた。
「緑間君、僕に悪戯されたいんですか? それはかなり予想外なんですけど」
 えいっと本に手を伸ばし、緑間の視線と意識を奪い続けている本を没収する。
 読書の邪魔をするのは本意でないが、怒られても良いから隣の自分へもっと意識を向けて欲しい。
(なんて――そんなこと、君は知りもしないんでしょうけどね)
 案の定、眉間に皺寄せた緑間が不機嫌な視線で「何をする」と訴えるように自分を見ている。
 だがこの一瞬だけでも緑間の視線を奪えたことに、黒子はこのうえない幸せを感じるのだ。
「だって悪戯とお菓子、両方なんですよね」
「……もしも、と前置いたのが聞こえなかったのか」
「聞こえてましたけど、回答として受け取りました。よって、これもあげます」
 そう言って黒子が緑間の手に握らせたのは、本日の蟹座のラッキーアイテムでもあるのど飴だ。
 これなら食べてくれるだろうと黒子が予想した通り、緑間が袋を破いてのど飴を口に放った。
「美味しいですか?」
「ああ。黒子――Trick or Treat」
「え?」
 同じ言葉を切り替えされる想定のなかった黒子の返答が遅れたのを見て、緑間が薄く笑んだ。
「返答がないということは、お前も両方で良いのか? 黒子」
 どういう意味ですか、と問いかける前に顎を取られ、緑間の顔が近づいて唇が重なった。
 僅かに開いた唇の隙間から口内へ、ころん、と。濡れて溶けかかったのど飴が転がり込んでくる。
 まさかこんな展開になるとは思ってもいなかった黒子は、血が昇った紅い顔で絶句した。
(だって、今の――緑間君との、ファーストキス、ですよね?)
「――これで菓子と悪戯、両方なのだよ」
 恐らく自分と同じくらい、照れて紅い顔をした緑間の、涼やかな目元が優しく自分を見下ろした。
タグ:緑間×黒子
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。