2013年07月06日

緑黒で四季彩々(七月)

表題通りですが、緑黒で四季彩々、七月です。

緑黒の十二ヶ月を短編で書いてみようという、その第七弾です。
まったり十二編、紡いでいけたらいいなと思っております。

一〜三月、四〜六月はサイト内、pixivにございます。


とても短いですが、一応女性向けなので本文は折り畳みで。


そして一日フライングですが、緑間さんハッピーバースデー!
別途あげようとしていたお話がまだ書きかけなので、こちらでお祝いをば。





【July】


 手を伸ばしても届かない、溶けたバニラシェイクのような薄い光が夏の夜空にたなびいている。
 なんだか美味しそうですよね、と思ったままを口にしたら、紫原のようなことを言うなと呆れられた。
 眼鏡のブリッジを中指で持ち上げる仕草は中学生の癖して随分堂に入っていて、つい見惚れてしまう。
 互いの想いが通じ合った今でも、こんな瞬間は改めて緑間君に恋している、気がする。うん、惚れ直す。
 やれやれとため息を吐いた緑間君が、浴衣の端から覗く手首に光る、シンプルな腕時計で時刻を確認する。
「待ち合わせの時間は十九時だった筈だな。紫原や黄瀬、青峰はともかく赤司や桃井が遅れるとは珍しい」
 老若男女、沢山の人でごった返すお祭りの雑踏に視線を彷徨わせ、緑間君が仲間の姿を探している。
「それなんですけど緑間君。僕は君に言わなければいけないことがあるんです」
 目を瞬かせた緑間君が、なんなのだよ、と僕を見下ろして首を傾げた。曇りの無い瞳に、沸き上がる罪悪感。
「えっと。端的に言いますと、皆なら来ません。青峰君も黄瀬君も、紫原君も赤司君も、桃井さんも」
 ぽかんと。こんな風に口を半開きにした間抜け顔は初めて見る。そんな表情、するんですね。
 瞬きを忘れ、二の句が継げないでいる緑間君に、僕は懺悔という名の状況解説を始めた。
「緑間君の性格上、他の皆にいちいち確認は取らないだろう事を見越しまして、君だけを呼び立てました」
「……確かに、その通りだったのだが。というか、つまり、ここに来るのは俺とお前だけ、なのか?」
 だからそうですと言っているのに、普段明晰な頭脳も役に立たなくなっているのか、緑間君が確認してくる。
 少しばかり離れた場所の七夕祭りに誘ったのも、浴衣で来て貰うよう頼んだのも。君にだけなんですってば。
「黒子」
「なんですか。あ、その前に謝らせて下さい。君のことを騙して、すみませんでした」
「いや、それは、いいのだが――何故こんなことをしたのか、聞いて良いか」
 つっかえつっかえ、若干どもりながら。問いかけてくる緑間君の頬は、薄闇の中でも紅いのが判る。
 こういうことには鈍いと思ってましたけど、一応察してくれてるんでしょうか、僕の心境。
「皆とも改めてお祝いしますけど。一足先にフライングで、二人だけで君の誕生日を祝いたかったんです」
 七夕生まれの君。織姫と牽牛のように、二人きりで逢えるのは別に年に一度って訳じゃ無いけど。
 くいくいっと浴衣の裾を引っ張って、緑間君に軽く屈んで貰ってから、耳に唇を寄せる。
「ハッピーバースデー、緑間君。今までもこれからも、ずっと君のことが大好きです」
タグ:緑間×黒子
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