2015年12月18日

【C89新刊情報】RO生体ハワエレ本「これより先は愛の巣により、関係者以外立ち入り禁止!」

未脱稿ではありますが、C89の新刊情報を載せさせて頂きます。
随時追記させて頂きますので宜しくお願い致します。



これより先は愛の巣により、関係者以外立ち入り禁止!(A5/頁数・価格は後日/R18)

写真表紙4色フルカラー印刷、本文書籍用紙モノクロレーザー印刷のコピー本。
生体工学研究所、ハワード×エレメス本です。ギャグエロラブコメ。のつもりです。
基本的にドタバタ。三階の他面々も結構出てきます。


※また、前記事でも記載致しましたが、自分の書く生体工学研究所の彼等は、全て脳内鯖設定となっております。公式からの詳細な設定が発表されるより以前から生体のお話を書いていた為、RO公式やLoVA公式による設定や口調等と、異なる場合が御座います。ご了承のうえ、お読み頂ければ幸いです。




「――俺は、同棲がしたい」


今日も今日とて、マーガレッタのお茶会が開かれている生体三階。
そこに突如、実に唐突にハワードが意味不明の爆弾発言をぶっかましてきた。
同棲と言っても既に一つ天井の下で同居をしているのだが、ハワードの真意とは果たして。
相も変わらず恋人の言動にぶんぶか振り回される、エレメス=ガイルの明日はどっちだ!


こちらの本はR18の展開を含みます。サンプルは以下、折り畳みです。



当スペースにて前回と同じくBGBH様が主催のハワエレアンソロジーを、少部数ですが委託させて頂くことになりました。夏にもご紹介致しましたが、素敵な作家の皆様による渾身のハワエレ本です。畏れ多くも、自分も寄稿をさせて頂いております。ハワエレワールドをご堪能頂ける素敵な一冊となっております。また、同サークル様のエレセシ小説も委託させて頂くことになりました。小説は可愛いセシルちゃんとみんなに好かれるエレメスさんがここぞとばかりに観られる、お薦めの一冊です。ご興味がありましたらば、御手にとって頂ければ幸いです。

(12/18時点での仮稿となります。ほぼ変更は無いと思いますが、脱稿時に決定稿を掲載致します)


「――俺は、同棲がしたい」
 唐突に。だがその顔と声音は至極真剣に、男は呟いた。
 両肘を着いて組んだ手に顎を乗せ、眉根を寄せている。精悍な顔立ちが、更にきりりと引き締まって、見ているだけなら申し分ない男前さだ。
 今日も今日とて、いつもと変わらぬ昼下がり。全員揃った平和なお茶会に、不意打ちのように投げ込まれた一つの爆弾。唐突な発言に一同の視線が男に集まり、刹那、時が止まる。
 が、しかし。
「あ、そう。別に、好きにすれば? ねえマーガレッタ。私、お茶のおかわり欲しいな」
「……私も。あとケーキもう一つ、いい?」
「はいはい、勿論……って、あらあら。ケーキはまだ残ってますけど、お湯が……セシル、申し訳ありませんが少々待っていただけます?」
「あ、お湯足りないならいいよ?」
「大丈夫。すぐですから」
 言って、聖女が立ち上がろうとしたのを、甲冑姿の男が掌で制す。
「ならば俺が沸かしてこよう」
「ですが、セイレン。貴方の手を煩わせるのは」
「なに。俺も、君のお茶をもう一杯頂きたいだけだ」
 あくまで自分が欲しているのだから、と。女性達に気遣いさせないよう前置いて、男が席を立った。騎士たる風格と紳士然とした振る舞いに、ありがとうございます、と聖女の口元が自然と綻んだ。
 以上。お茶をしている周囲の面々は、日常、平常、通常運転そのものの反応を以て、冒頭の発言を迎えた。
「…………」
 俯き加減で肩を落とし、片肘をついた掌で顔を覆っている、ただ一人の男を除いて。



 ルーンミッドガッツ王国より遙か北に位置する都市国家、シュバルツバルド共和国。そこには、政治と経済という国の基幹を一手に掌握している、一つの巨大企業があった。中心都市リヒタルゼンに居を構える、その名をレッケンベル社という。国の経済に貢献し、善意の生命倫理を謳った数々の実験は、世のアルケミスト達にホムンクルスという相棒を与えた。数々の実績により国を支え、技術の進歩と人の革新、可能性、果ては未来を担う素晴らしい企業だ。
 が、どんな素晴らしいものにも、光があれば闇もある。レッケンベルの場合、それは殊更に酷かった。
 ごくごく一部に流れる悪名は、前述の輝かしい功績を跡形も無く吹っ飛ばす。その内容は、例えば貧民層を言葉巧みに誘導しては連れ去って、非人道的な実験が行われているとか。それだけでは飽き足らず、諸外国からも人を攫って、同様に実験しているだとか。一度足を踏み入れた者は、二度と帰ってこないとか。まことしやかに流れる黒い噂の中心はだいたい、本社地下に存在すると言われている、生体工学研究所。通称レゲンシュルムと呼ばれる施設だ。
 そしてそれらの噂は、残念ながらほぼ真実なのである。
 何故ならその研究所には、動かざる確たる証拠があった。レゲンシュルムの非道なる実験により、人為らざるモノへと造りかえられ、世の理から外れた存在。端的に表現するなら、いわゆるモンスター。実験を受けた者達の、成れの果てが徘徊している。
 その姿は実体を持つ半透明の思念体という、非常に特殊な外見で、身体能力は常人のそれを遙かに凌駕している。様々な実験を経た為か、造りからして人とは違うのだ。人工のドッペルゲンガーとでもいうべきか。
 だがそれ以外、特に精神構造は、人と何ら変わりない。生前の記憶こそないが、今いる仲間達への信頼、敬愛、慕情など、その思考回路や抱く感情すらも、人であった頃のままだ。
 ゆえに、その悲惨な境遇からは想像も出来ないほど、普段の彼等は、穏やかに暮らしている。無論、仲間や棲む場を護る為の戦いは避けられない。また被検体且つモンスターという身柄故に、いつ何時、研究者達に何をされるかもわからない。先の見えない未来を思えば、不安になることも多々ある。
 けれどこうして、毎日お茶会を開く程度には日常を過ごせているし、平和だった。
 そうして今日も定例のお茶会が開かれていて――話は冒頭に戻る。



「……ハワード。先程の発言について、一応主旨を聞いておきたいんだが」
 呻くように言いながら、俯いていた顔を漸く持ち上げる。アサシンクロス装束の特徴とも言えるマフラーを、やや震える手で巻き直しながら、エレメス=ガイルは口を開いた。動揺と共に些か乱れた前髪を、慣れた手で梳き直し、なんとか体裁を保つ。
 余談だが、この時点で既に追加の湯が沸き、お茶の催促をしていたスナイパーのセシル=デイモンは、良い具合に茶葉の開いた琥珀色を、実に美味しそうに啜っている。その隣では、ハイウィザードのカトリーヌ=ケイロンが、二つ目どころか三つ目のケーキをたいらげた後だった。ロードナイトのセイレン=ウィンザーと、ハイプリーストのマーガレッタ=ソリンは、そんな二人を温かな目で見守っている。
 要するに、エレメスが気力を取り戻し、問いかけを発するまで、それだけ時間を要していた。あれだけ馬鹿馬鹿しい、頭の痛くなる発言を聞いたのだ。それも仕方ないのないことなのだと、エレメスは自分に言訳る。
「聞きたいこと?」
「同棲とは一体。誰が」
「そんなの、俺とお前以外に誰がいるんだよ」
 発言時の真面目顔は何処の彼方に置いてきたのか。いつの間にやら、こちらも通常運転になったらしい。ケロッといつものしたり顔で、ホワイトスミスのハワード=アルトアイゼンが、至極当然とばかりに言ってのける。
 予想通りの答えを、あまりにあっさり言われてしまった。全身から力の抜けたエレメスは再び、ぐでりとテーブルに突っ伏し、今度は両手で頭を抱えた。
 おーい、と。脱力の元凶たる男が、人の気持ちも知らないで、無許可で髪を弄り回す。いつもならここで、渾身のソニックブロウ・フィーチャリング・デザートフォークエディションが決まっている頃合いだが、心底呆れ返っている今のエレメスは、振り払う気力も沸かない。
 確かにエレメスはこの男、ハワードといわゆる恋人関係にある。その男が、同棲つまりは一つ屋根の下で寝食を共にしたいと宣言するなら、自分以外に該当者は居ない。そう考えるのが妥当だろう。むしろ、他の相手だと言われても困る。もっと言えば、嫌だった。調子に乗られるのは確実なので、ハワードに教えてやる気はさらさらないが。
 恋人から、同棲がしたいと願われる。それ自体は普通、喜んでいい話だ。が、それはあくまで一般的な環境なのが前提である。
 胸の奥底から排出した、とんでも無く深い、そして長い溜息をこれ見よがしに吐き出す。再び顔を上げたエレメスは、正面からじっとハワードを見据えた。
 真っ向から見合ったことで、瞳の奥に隠れた思考が見通せる気がしてくる。――多分、おおよそ、のレベルではあるのだが。
 そこから察するに、ハワードは今の状況を愉しんではいるが、決して自分をおちょくるつもりは無い。らしい。曲がりなりにも恋人なので、雰囲気や表情から、それくらいはまあ、読み取れる。
 茶化していないのは実に結構なのだが、となると逆にこの案件、厄介なことにジョークではなく、どうやら本気ということになる。
 なら尚のこと、エレメスにはハワードの真意が掴めない――何故なら。
「ハワード。いいか、よく聞け。お前は、俺と同棲がしたいと言うが」
「ああ、そうだ。いいだろ? めくるめく愛の日々を俺と過ごそう!」
「いちいち口を挟むな。だから、先ず同棲という言葉の定義を考えろ」
「定義? そりゃ、愛し合ってる恋人同士が一つ屋根の下で一緒にイチャイチャ暮らすこと――だろ」
「明け透けに言うな。だがまあ、大まかにはその通りだ。ならば、今の状況はどうだ」
「茶、飲んでるな」
「いやそうではなくて。真面目に聞け。俺とお前は毎日、共に同じ食事を摂って、一つ天井の下で暮らしている。確かに、個人の部屋こそ違うかも知れない。が、一般的に一つ屋根の下で暮らしていても、プライバシーの確保は行われる。同棲していても、それぞれの部屋があるというのは、決して珍しくない。つまり、俺達は既に同棲しているようなものだろう」
 これ以上途中で横やりが入らないよう、エレメスはだいたい一息で言い切る。
 要するにハワードが言うところの同棲とは、前述した通り今更なのだ。同棲宣言というセンセーショナルな出来事なのに、仲間達の反応がいまいち薄いのは、恐らくそれに尽きる。
 理路整然と事実を説明し、これで前言撤回して貰えるかと思ったのも束の間。懇々と説得を試みた相手は、エレメスの熱弁を聞き終えて、ただ一つ頷くのみだった。
 この様子は、今の弁に納得していないのじゃないか。
 若干の不安を抱きつつエレメスは返答を待つ。
 すると、ふうん、と。頬杖をついたハワードが、ちろりと斜めにこちらを見遣った。
「成る程な。お前の言うこともまあ、一理ある。そんじゃ、今の話を前提にして聞くぜ。なあエレメス、お前マーガレッタやカトリーヌ、セシルと同棲してるつもりなわけ?」
 ハワードから返ってきた突拍子もない質問に、エレメスは思わず「はあ?」と目を瞬かせる。
「だってそうなるだろ、お前の言い分だと。一つ天井の下、同じメシ食って暮らしてる」
「――そ、それは、同棲ではなく同居と呼ぶべきだ」
「なんで?」
「彼女達は異性だ。軽々しくそんな言葉を使っては、失礼になる。親しき仲にも礼儀ありと言ってだな」
「んじゃセイレンは。男だけど」
「そこは、その。同棲ではない。ないな。お前とセイレンとでは、関係性が違う」
「ふうん。でもさっきのお前の話じゃ、セイレンとでも同棲で成り立つよなあ」
「それは、今も言っただろう関係性が」
「仲間なのに?」
「だから定義については性的関係の有無に因るだろう! そういう行為があるのはお前とだけだろうが!」
 吐く息荒く叫んだエレメスは、握った拳を天板に思い切り叩きつける。弾みで、レースのクロスに若干、皺がよってしまった。
 シンと水を打ったように静まり返った一同の視線は、叫んだエレメスに注がれている。理由は当然、発言内容の所為だ。暗黙の了解であった事実――つまりハワードエレメスが夜の関係を持っているのを、あからさまな言葉で口にしてしまったのだから。
 それこそ皆からすれば今更ではあるのだが、基本、シャイな性分であるエレメスは心底いたたまれない。穴があったら入りたい。即座にクローキングを使わなかったのは、否、使えなかったのはひとえに、そこまで頭が回っていないからに他ならない。
「ま、そういうこった。確かに俺達はそういう関係にある。でもって、仲間内で同居してる。それが正解だ。だからもう一回、ちゃんと言うぜ。俺はお前と同居じゃなく、同棲がしたいんだよ」
「――……ッ!」
 己の失言を全肯定という追撃。思考へ止めを刺されたエレメスは、陸に上がった瀕死の魚が如く、口をただパクパクさせる。
 心神喪失状態になったエレメスの耳に、「はいはい」と手を打つ音が響いた。
「このまま話を聞いていても私達は全く問題ありませんし、大変興味深いですけれど。貴方達の痴話喧嘩をあまり長く聞いていると、砂糖の分量を大幅に間違えたケーキより、胃もたれを起こしてしまいますから。続きは部屋で、お好きなだけどうぞ」
 見れば、セシルは既にゲンナリと、セイレンは困ったような苦笑、カトリーヌに至っては聞く耳持たず。マーガレッタは言うに及ばず、共通する雰囲気は、まさにやれやれといった感だ。

<続く>

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