2015年07月24日

【第52回フリーワンライ】 思わせぶりな態度  ペルソナ4 主花

Twitterにてフリーワンライ企画様(@freedom_1write)が主催なさっていらっしゃる「深夜の真剣文字書き60分一本勝負」の第52回にて出されたお題のうち、「思わせぶりな態度」を使用させて頂きました。

今回はペルソナ4から、主人公×花村(主花)です。正確には、ペルソナ4ダンシング・オールナイトから。丁度このワンライが開催されたのがP4Dのストモクリア直後で、フリーダンスをガンガンやっているタイミングでした。とある掛け合いに大変衝撃を受けまして、書かずにはいられなかったという。マーガレッタさんからストモネタバレは禁止されておりましたが、た、多分大丈夫なレベルだった……はず?

そんなワケで折り畳み先はP4Dのストモ・フリーダンスの掛け合いネタバレを含みます。ストモはそこまで物語が進んだ状況ではありませんが、未プレイの方はご注意下さい。
P4Dは現在、キンクレ埋めとオールナイトの攻略中。DLC配信になったばかりのカラーウィッグ着せ替えが楽しくて仕方有りません。個人的にお気に入りは、金髪碧眼Pカラーの雪子。アリスっぽくなってとてもイイです。P4Uのカラバリを思い出しますね! 完二の夏休みに黒髪ウィッグを選ぶと、夏休みの髪型で金髪が見られてそれも楽しいです。

相変わらず時間が足らず、ワンライ内で推敲・読み直し出来なかったので、恥ずかしながら助詞不足や表現被りなのをそのまま載せております。


「よっしゃ、そんじゃ俺達はさっさと行こうぜ。落水さん、あと宜しくお願いします」
 頭を下げる陽介に鋭い視線を投げ、落水さんが静かに頷いた。コッソリ軽口を叩くことはあれど、苦手な相手にも面と向かってきちんと対応出来る辺り、陽介はしっかりしている。りせや天城に直斗にも言えることだが、社会経験の場数を思わせる。
「うんっ。早くりせちゃん達に合流しないとね」
「直斗君の推理を聞けば、きっと解ること沢山あると思う」
 たまみさんに引き続き、かなみんキッチンのメンバーで有りリーダーのともえさんを無事助け出した俺達三年生メンバーは、何故かシャドウに絡まれず追いついてきた落水さんにともえさんを任せ、プロダクションの楽屋そっくりの部屋を出た。
 俺達の知るテレビの世界とは随分勝手が違い、ここでは敵を直接攻撃できない。故にここまで、俺達はダンスでシャドウとの決着を付けてきた。正直、普通に戦うよりも体力の減りが激しい。都会に戻っても受験勉強の合間を縫ってそれなりに運動はしていたし、絆フェスのレッスンで基礎体力は多少持ち直した気がするのだが、まだまだだったようだ。
 にもかかわらず、前を歩く里中と天城は、いっそ俺より足どりがしっかりしている。お化けについて怖がっているあたり可愛らしいところもあるが、相変わらず頼もしい限りだ。
「おーい。お前ら、あんま先に行くなよ!」
 大丈夫ー、と。笑顔で振り返った里中が、片腕でガッツポーズを作った。さっきまで声の主がお化けかもというだけで顔を青ざめさせていたのに、元気なモノだ。メンバーの士気が高いに越したことは無いので、下手にお化け話を蒸し返す気は無いが。
 それよりも今の俺には、気になっていることがある。
 肩を並べて隣を歩く、ハニーブラウン。相棒で、親友で――目下、遠距離恋愛中の恋人。夏に一旦短くした陽介の髪は、また以前の長さに戻っていた。毛先の向こうに見え隠れする項に暫し目線を奪われていた俺は、「どした?」と無邪気に問いてくる。覗き込んでくる近い顔に、思わず生唾を飲み込んでから、何でも無いと首を振る。危ない。美味しそうだったから食いつきたかった、だなんて流石にこの状況では言えない。思うくらいなら良いだろうが。
 いけない、そうじゃない。俺は陽介に聞きたいことがあったのだった。とても大事なことが。
「りせの時も思ったけど、本当に陽介はアイドルに詳しいよな」
「へ? ああ、でもこんくらいテレビ観てたらわかんじゃん? 特にかなみんなんて雑誌でもしょっちゅう特集組まれてるし」
 至極当然と言わんばかりに言ってのける陽介に、俺はわざとらしく盛大に溜息を吐いた。
「随分と余裕だな。てことは、まだ結果聞いてなかったけど、こないだの模試、良かったのか」
「――あ、えーと」
 たはは、と誤魔化すように頭を掻いた陽介にヘッドロックをかましてやると、案の定腕の中で大仰に騒ぎ始めた。ばたばた暴れるので、更に足を絡めてがっちり固める。これでしっかりホールドしたから、逃げようとしても無駄だ。
「ぐえっ! ちょ、たんま相棒、ギブギブ!」
「人がせっかく自分の勉強やレッスンの合間を縫って、わざわざ電話で勉強を教えてやったというのにお前は」
「ちっと芳しくは無かったけど、前よりかは順位上がったから許してくださいセンセー!」
「いーや許さん。俺と同じ大学受けるんだろうが」
「待て。そりゃそっちの学校受けっけど、お前と同じとか俺の頭じゃ無理だから!」
「相棒甲斐の無いことを言うな。いいから頑張れ」
「無茶振り禁止ー!」
 ぱしんぱしん、陽介がヘルプと言わんばかりにロックした腕を叩いてくるが、俺はそ知らぬ顔で耳に息を吹きかけてやった。瞬間、声にならない吐息が漏れて、陽介の身体が硬直する。少し向こうで里中と天城がこちらを見ているが、「あいつらまたやってるよ」と言いたげな呆れ目を寄越すばかりで、横やりを入れる気はなさそうだった。陽介としては彼女たちに助けて欲しかっただろうが、俺には都合が良い。
「ばっ、おま」
「別に、アイドルに詳しいのは良いんだけど。あまり俺の前で嬉しそうにはしゃがないでくれると助かる。久しぶりに逢ったっていうのに、他の女に頬染めてる姿なんて見たくないぞ俺は」
「わあったから、耳元でしゃべんなっ。お前の低音、凶器なんだよっ! 」
「幾らファンの相手や騒がれるのに慣れてるからって、彼女達だって素は普通の女の子なんだ。見てきてわかっただろう? 思わせぶりな言動は慎め」
 言霊使い級の伝達力に加え、たったいま本当の彼女達を見たばかりだった所為か、俺の言葉は説得力があったらしい。暴れていた身体から力が抜け、陽介がしゅんと項垂れた。
「……ゴメン、確かにちょっと浮かれてた。でもそれ、アイドルと話せるからだけじゃ無いぜ。お前の前じゃ、テンション上がっちまうっつーの。久々で嬉しいのは、俺も一緒、だから」
 恥ずかしくなっていったのか、後半は小声が更に潜められた。密着していたお陰でしっかり聞き取れたが。チッ、今の録音しておきたかった。
 もういいだろ、と陽介が解放を促す。だが残念ながら、俺が言いたいのはそれだけでは無かった。むしろアイドル云々はここにきて追加された文句というか。
「それだけじゃない」
「ンだよ、まだなんかあんの」
「お前、あっちで完二とも踊ったらしいな」
「へ。そりゃ、練習してて一緒に……ってオイ、なんかすげー顔怖いんだけど。つかさっきより人相悪くなってんですけどっ?」
「ああうん、思い出し怒りしてるだけだから気にするな」
「なるなって言われても無理じゃね?」
「りせから動画を送って貰った。良く踊れていたよ。二人ともタイプが全然違うのに、すごく相性良く見えて、息もぴったりだった」
「お、おう。お前に褒めて貰えんの嬉し――え、待て。まさかと思うけど完二相手に妬いたりしてねえよな」
「まさか。妬いたりしないさ。踊っているだけなら、な」
 本当に心当たりが無いようで、陽介が首を傾げる。うん、そうだろうな。無意識だったんだろう。余計にタチが悪い。
 最初にそれに気付いたときの苛立ちから、俺は腕への力を込めてしまった。苦しかったのか、ぐぇ、と僅かに陽介が嘔吐く。
「その動画で、完二が――今は俺が相棒、って言ってたな。お前はそれを否定するでもなく、照れ臭そうに踊っていた」
「……え、まじ?」
「嘘でそんなこと言うか。動画とってあるから、疑うなら後で見せるぞ。本当に覚えてないのか」
「あー……言われてみれば……」
 眉をハの字にして、本気で困ったようにはにかむ顔は心底可愛らしいのだが、だからこそ憎たらしい。俺は本気でショックだったのだ。完二は確かに大切な仲間だが、お前にとっての相棒は俺以外になり得ないと信じていた。たとえ距離が離れても、変わらないはずなのだと。
 八十稲羽に残った陽介を、仲間が、完二が支えてくれている。その事実を嬉しく思うと同時に、やはり俺はいま陽介の傍にいないのだと寂しさを痛感し、相棒の席を空けておいてくれないのかと文句が言いたかった。
 恋人の浮気を疑っているわけでは無い。ましてや完二相手だ。ただ、相棒と呼べるのも俺だけで居て欲しいのだ。
「……うん、そーだな。完二がああ言ってくれたのが俺、嬉しかった。でもさ……大丈夫。俺にとっての相棒は、お前だけだから。相棒も――その、こいびと、も」
 ふわりと笑った顔があまりにも可愛くて可愛すぎて眩しくて、俺は二人がこちらを見ていないことを確認してからそっと、陽介の唇を盗む。
 真っ赤になって抗議する口を掌で塞いで俺は、二人きりの時しか発さないとびっきりの声音を作って耳孔へと囁いた。
「俺にとっての相棒も、親友も、恋人も。全部が陽介だけだよ」
 
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