2015年07月13日

【第51回フリーワンライ】 焦がれる 報われない RO生体

Twitterにてフリーワンライ企画様(@freedom_1write)が主催なさっていらっしゃる「深夜の真剣文字書き60分一本勝負」の第51回にて出されたお題のうち、「焦がれる」「報われない」を使用させて頂きました。

今回はRO生体工学研究所から、ラウ→エレ前提のラウレル+イレンド。この二人、脳内鯖では悪友同士というイメージがあります。書くことが多いのは三階、四階なのですが、二階のメンバーも可愛いですよね……一次職万歳。今更ながらRRで二階の敷居が格段に上がったと聞いておりますが、いちばんはウィレスさんじゃないかなと。葱娘で遊びに行ったんですが、なにあの当たらなさ。要Hit高すぎやしませんか。
相変わらず時間が足らず、ワンライ内で推敲・読み直し出来なかったので、恥ずかしながら助詞不足や表現被りなのをそのまま載せております。



「あー、どうしてっ……何で、俺じゃなくてッ!」
 木製の机を拳で思い切り叩くと、がごんと鈍い音がした。端を叩いた所為か、銃真の傾いた机がぐわんと揺れる。ティーカップの中身が少ししか零れなかったのは奇跡と言って良い。
 頭に血が昇っている自覚はある。いっそフロストダイバーを自身にかければ、少しは思考も感情も冷えるのじゃないかと思うほどだ。
 だが残念ながら、その程度で今の自分が醒めてくれると楽観できるほど、ラウレルの想いは軽くない。彼の人の想いが得られない焦燥と、それをいとも簡単に手中に収めた人への妬みで、頭がおかしくなりそうだった。
 二人とも共に、尊敬に値する兄貴分達というのがまた、厄介なのだ。
「不毛だよ。ああ、んなのわかってンだよっ……!」
 マジシャン姿の少年、ラウレル=ヴィンダーは、チッと舌を打った。
 仲間の前ではとてもじゃないが、こんな姿は曝せない。皆からは、自分がしばしば感情的になる性格と思われているは知っている。が、それはあくまで敵に対してであって、仲間内へは基本的にクールで冷静――の筈だ。戦いの後というわけでも無いのに、こんな風に荒れているのを見られたら。心配されるならまだしも、苛立ちを揶揄られるのは勘弁して欲しい。ましてや、八つ当たりの相手を知られた日には。
 仲間達も皆、『彼ら』を慕っているのだ。自分勝手に息巻いている自覚はあるのに、それを責められた挙げ句、その理由を問い詰められるのは想像に難くない。
「……洒落になんないしな。あー、ほんっと面倒くさいんだよ、何もかも!」
 誰も居ない私室だからこそ、思う存分に心ゆくまで暴れられるというモノだ。
 手にした杖をぶん投げるのは、理性が辛うじて抑えた。代わりに、机と対になった椅子を思い切り蹴り上げる。ガタンと大きな音を立てて横倒したところで――真後ろに、ようやく気配を感じた。
 たらり、背中に嫌な汗が伝う。 
 嫌な予感、否、確信を胸に覚えながら、ぎぎいっと油の挿されていない機械のような音を立て、ラウレルは振り返る。そこに居たのは想定した通りの、何処か申し訳なさげに困った笑顔を浮かべた仲間の姿があった。
「――ッ」
「一応ノックはしたんだけど……お邪魔だったかな?」
「い、イレンドお前、いつから居た」
 アコライトの衣装を纏った仲間でありラウレルにとって悪友と呼べる少年、イレンド=エベシがにっこり笑んでこちらに寄った。肩にぽん、と手を乗せたイレンドが、小首を傾げる。
「んー。どうして俺じゃ、ってラウレルがテーブル叩いたあたり?」
 悪びれずにそう言ったイレンドに、ラウレルは毒気を抜かれてがっくり両肩を落とした。
「ほぼ最初っからかよ……声かけろよ! 黙って見てんな!」
「そうしても良かったんだけど、噴出させてからのが良いかと思って」
 違ったかな、と続けたイレンドに返す言葉を失う。
 当たり前だ、と反論してやりたかった。が、この聡い仲間の意見はこれまでの経験上、殆ど間違いないと言って良い。特に自分に着いて言及された場合、悔しいが十割の確率で当たっていた。
 今もそうだ。途中で声をかけられては恐らく、苛立ちをイレンドにぶつけてしまい、後で相当自己嫌悪に苛まれるところだった。
「……悪い。とりあえず、座れよ」
 倒れた椅子を起こして座るよう促すと、肩を竦めながらイレンドが腰を下ろした。受け皿に琥珀を零したティーセットを一旦片付け、グラスに冷茶を注ぐ。部屋に飲み物のストックがあって良かった。今から共同のキッチンへ取りにいくのは、少々面倒だったからだ。
 いつもならともかく、ポーカーフェイスを保つ余裕の無い今の顔を、他の仲間には見られたくない。
「ほんと、ラウレルって損な性格してるよね」
「何が言いたいんだよ」
「もうちょっと上手い操縦の仕方を覚えればって話」
「何の」
 ふん、と鼻を鳴らしてグラスを手にし、ラウレルはベッドに腰掛けた。イレンドの優しい視線が今は居心地悪く、つい顔を逸らしてしまう。
「感情、かな。今日のアレだよね、荒れてる理由」
 遠回しながら原因そのものずばりを言い当てられ、ラウレルは唇を引き結んだ。
 今日のアレ――それは、三階に住む兄姉達が二階を訪ねてきたのだ。ラウレルは想い人であるアサシンクロスのエレメスと会話する機会を伺い、上手いことその時間を作ることに成功した。久しぶりに話が出来て舞い上がっていたのだが、会話の途中、ラウレルはとある事実に気がついてしまった。否、正確にはそのエレメスの恋人であるホワイトスミスのハワード=アルトアイゼンによって、気付かされてしまったのだ。
 会話に割って入ってきたハワードが、余裕綽々の顔でエレメスの肩を組み、わざとらしく首下の髪を掻き上げた。その際に見えてしまった、紅の所有印が。
「……そーだよ」
「うん」
 それだけ言って、立ち上がったイレンドが自分の隣に座る。子供のように頭を撫でられるが、不思議と悪い気はしなかった。
「悔しかった」
 ぼそり、ラウレルはようやく本音を言葉にする。
 見せつけられた。主張されたのだ。想うこと、言葉を交わすことは許容されているが、どんなに焦がれてもそれ以上は無駄なのだと言われている気がした。報われない恋なのは最初からわかっていても、そんな事をされれば感情は波立つ。
「しょうがないよ。あの二人はいつ見ても蜜月だし。ま、ハワードさんはちょっと大人げないんじゃって思うけどね。惚気たいだけだったのかもしれないけど」
「……ほんっとお前、俺のことお見通しなんだな」
「伊達に仲間やってるつもりないし?」
「俺、たまにお前が恐い」
「何で?」
「同じようなこと、皆に言ってんだろ」
「それで怖いって、ひどいな。ラウレルが一番多いよ」
「言ってるのは否定しないのかよ!」
「しょうがないじゃないか。一番わかっちゃうんだからさ」
 よしよし、と少々強引に頭を肩口に寄せられる。寄りかかる格好にさせられたが、反抗する気は起きなかった。むしろ、心地良いとさえ思った。
 今だけ甘えていいよ、と。独り言のように囁いたイレンドにラウレルは、同じくらい小さな声でありがとう、と返した。
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