2015年07月06日

【第49回フリーワンライ】決戦前夜 DRAGON QUEST -ダイの大冒険-

Twitterにてフリーワンライ企画様(@freedom_1write)が主催なさっていらっしゃる「深夜の真剣文字書き60分一本勝負」の第49回にて出されたお題のうち、「決戦前夜」を使用させて頂きました。

今回はDRAGON QUEST -ダイの大冒険-から。ポップの一人語りです。実は全く同じタイトルでダイ大のお話を書いたことがあるのですが、どうもこのワード=ダイ大っぽいというのが自分の中に有る様子。ダイ大は本当にポップが大好きです。等身大で泣き虫ヘタレ弱腰お調子者の半端者が心身ともに成長するというのがたまらなく好きです。
相変わらず時間が足らず、ワンライ内で推敲・読み直し出来なかったので、恥ずかしながら助詞不足や表現被りなのをそのまま載せております。

そういえばじぇいわーるどの黄緑フェスに滑り込みで行ってきました! 限定のグッズを無事入手出来て本当に嬉しかったです。今回のフェスが終わった後もまた黒バスの企画は続いて下さるようなので、是非行きたいですね……!

そんなわけで 続きは折り畳みです。

 出来るだけ音を立てずに忍び足で廊下を歩み、自分に割り当てられた部屋へと戻ったポップは、唇を引き締めたままベッドに腰掛けた。ふぅ、と深い息を吐きだす。自分で思っていた以上に、気を張っていたらしい。
 明日以降のことを思えば、今すぐにでも床につくべきだと頭では解っているのだが。
「……眠れるわきゃ、ねえよなあ」
 たとえ瞼を閉じても、先程の光景ばかりが浮かんでくる。
 勇者ダイ。彼はこれまで、どんなに苦しい状況に置かれても、とてつもなく絶望的な強さの相手を前にしても、逃げずに正面から戦い抜いてきた。幼く見える明るい笑顔が印象的で、ポップにとって生涯の親友といって差し支えない。
 その戦友が。誰よりも前向きなはずの彼が後ろを向き、頼りなげに肩を震わせていた。その姿が、鮮烈に残って離れない。
「……なあ、ダイ。俺は、ちったあお前の力になれたか?」
 いまだきっと、テランにある湖のほとりで佇んでいるだろう親友に向け、ポップは決して届かない言葉を独りごちる。
 たった一人の肉親である父親を喪い、更にヒュンケルとクロコダインは行方知れず。大魔王という強敵を前に敗北を喫したショックは、やはり大きかったのだろう。
 アバンの使徒となったあの日から恐らく初めて、彼は戦いに、龍の騎士の使命に背を向けた。決戦を控え、居なくなってしまった勇者ダイを探し、けれど誰もダイの行方を掴めなかった。
 その所在を探しあてたのが、誰あろう自分だったのだ。
 頭の後ろで手を組んで、ぼふっとそのまま後ろに倒れ込む。戦時中の砦にしては充分柔らかなベッドの感触を背で味わいながら、高い天井を見つめ、ポップは自問自答する。
 月夜の下、ポップは自分なりの言葉をダイに紡ぎ、発破をかけるだけかけて帰ってきてしまった。が、あれで良かったのだろうか。あの場に独り、ダイを置いてきて、本当に正しかったのか――。
 デルムリン島の船出からずっと一緒だったダイの傷ついた姿は、ポップにとっても衝撃だった。アバン先生がハドラーに倒された時も、レオナがフレイザードの氷に囚われた時も、ダイは哀しみを怒りに変えて戦ってきた。
 そのダイが、ここまで苦しんでいる。
 蹲るその尻をひっぱたいて、皆に報せてダイを無理矢理戦場へと引き摺り戻すことは、どうしても出来なかったのだ。
 だから、言うべき言葉を残して、ポップは帰ってきた。
「……絶対帰ってくる。あいつは、俺みたいな腰抜けじゃねえ」
 力だけじゃない。ダイの心の強さを誰よりも知っている――明日の朝、もう一度あの笑顔を観られると信じ、ポップは布団をひっかぶるようにベッドに潜り込んだ。

 勇者ダイの帰還まで、あと数時間――。
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