2015年07月01日

【第45回フリーワンライ】目覚まし時計の反逆 黒子のバスケ 緑高

Twitterにてフリーワンライ企画様(@freedom_1write)が主催なさっていらっしゃる「深夜の真剣文字書き60分一本勝負」の第45回にて出されたお題のうち、「目覚まし時計の反逆」を使用させて頂きました。

今回も黒バスから緑高です。書き始める三十分前にお題が出る為、その場の思いつきと勢いで行き当たりばったりに書いている感が満載ですが、すごく楽しかった記憶があります。(このワンライが行われたのは4/19なので結構前だったり)
相変わらず時間が足らず、ワンライ内で推敲・読み直し出来なかったので、恥ずかしながら助詞不足や表現被りなのをそのまま載せております。

それから、ついに黒バスアニメが終わってしまいましたね……南関東住まいなので昨日最終回をリアルタイムで観ていたのですが、もの凄く寂しいと共に虚脱感でいっぱいです。最終回のBパートでは「それ見せて頂けるのです!?」と舞い上がって、けれど刻一刻と迫ってくる終わりの時間が切なくて。エンカを観たときには、決着のときとは別の、感慨深さで自然と涙が流れました。
終始とても高いクオリティで綺麗に終わらせて下さって、キャスト及びスタッフ、関係者の皆々様方、そして藤巻先生、本当に、本当に黒子のバスケを素晴らしいアニメーションにして下さってありがとうございます!
円盤発売にNEXTの連載と続いておりますが、黒子のバスケという作品がひとまず二つ目の区切りを無事に終えられたことを、心から嬉しく思います。

まだまだ黒バス楽しんでこーぜ!

そんなわけで 続きは折り畳みです。

 起きろ、高尾――と。
 神聖なる裁判所内における公明正大な判事を思わせる、有無を言わさぬ凛々しい響き。というには、些か大袈裟かもしれない。 だが、とりわけ半覚醒状態の頭には、そんな風に聞こえてしまった。
 せっかくの心地良い眠りから、自分を呼ぶのは愛しい恋人の声だ。緑間真太郎。アンダーリムの向こうに覗く、知性を写し取ったかのように涼しげな目元は、正に判事と呼ぶに相応しい。
 それまで何故かデパートの屋上でカードゲームに興じ、突然の強風でホロレアカードが空に舞い、一財産が宙に舞ったショックで慌ててカードに手を伸ばしている真っ最中、という高尾の夢は、一転、場を裁判所に移してしまった。突拍子も無ければ、唐突な場面転換であるが、夢とは往々にしてそういうものだ。
 さて、もし緑間が判事であるなら、自分の役目はなんだろうか。夢の中で高尾は考える。傍聴席その一として緑間の勇姿を観るのも良いのだが、蚊帳の外に置かれたようでちと寂しい。ならば口八丁が得意であるところの自分が弁護士か。いやいや自分にはそんな頭も学も無い。何言ってる、夢なんだから別になんでも良いじゃないか、と自己突っ込みをしていると、被告人は静かにしなさいと大坪の顔をした裁判長に窘められてしまった。
 迷っているうち、いつの間にやら被告人になってしまっていたらしい。
 それは困る、と高尾は焦った。夢の中とはいえ、果たして何の罪で起訴されたのかは解らないが、万が一情状酌量もなく刑に服することになってしまったら、これからの時間、緑間と一緒に居られないではないか。
 遙か壇上の高み、判事席から自分を見下ろす緑間の目は至極優しく、且つ苦悩に満ちていた。なんだ。いったい何が緑間をそんなに悩ませている。
 焦燥に駆られる高尾を余所に、検事が罪状を読み上げる。これまたどうして、宮地の顔をしたその人は、自分が緑間に恋心を抱いていることを、執拗に宜しくないと語った。
 というか、これはしょっちゅう言われる文句だ。所構わずイチャイチャしやがっててめえら轢くぞこのリア充が。検事とはおよそ思えない発言だし口調だが、まあ夢だから仕方ない。
 そんな苦情がまさかの罪状では、そりゃあ緑間も困って苦悩するだろう。だってそれは、紛れもない事実なのだから。自分達は真実、愛し合っているのだ。おおっぴらに出来ない仲であるぶん、気心知れた関係を知っている相手の前でくらい、気を抜きたい。
 それを、甘えなんだよお前ら延々見せつけられる俺達の身にもなってみやがれと、言われてしまえばぐうの音も出やしない。
 反論はあるかと大坪に問われ、自分を弁護してくれるのは案の定、木村の顔をした弁護士だった。スーツに光る弁護士バッジがなんとも頼もしい。が、しかし。木村の答弁は自分達の擁護というより、宮地を宥めるといった方が正しかった。
 いわく。軽トラで轢くのは不味い、せめてパイナップルをぶつけろと。耳にたこができるくらい何遍も聞いたそれを、宮地はなかなか聞き入れない。木村、お前は八百屋のせがれのくせにパイナップルが可哀想だと思わないのか。いや相手は木村なのだが弁護士だ。その発言は矛盾している。だが宮地は気にしない。
 それにパイナップルは、とあるアイドルの好物だと先日雑誌で判明したから出来ない。パイナップルは自分にとってとても神聖なものになったのだ。投げるなら、せめて他の、もっと威力のあるなにかだ、と。やたらイイ顔で反論する宮地は、発言さえ聞かなければ後輩の間にファンクラブができるのも頷けるイケメンだ。
 何か間違った方向で白熱する検事と弁護士の答弁を余所に、自分はといえば、壇上の緑間と目と目で通じ合っていた。
 明日も早いんだろ。晩飯、何食いたい。
 お前が作ったものなら何でも。
 じゃー真ちゃんの好きな肉じゃがな。
 馬鹿め。俺が好きなのはただの肉じゃがではない。お前が作った肉じゃがだからこそ、好物なのだよ。
 ふはっ、真ちゃんのデレいただきましたー。
 ただの事実だ。鬼の首を取ったようにはしゃぐことでもあるまい。
 はしゃぐさ。だって好きな人にそう言われたんだぜ。嬉しいに決まってんじゃん。
 高尾っ……。
 先程までの苦悩顔は一体何処に行ったのか、宮地に聞こえたら本気でトラックを持ってこられそうな甘々バカップルの会話が、これでもかと繰り広げられる高尾と緑間の脳内。法廷シリアスなどという言葉は、もはや大気圏外に飛んでいた。
 確かに、緑間との恋路故に裁判にかけられている被告人という状況は、この上なく馬鹿馬鹿しいけれど一応シリアスだ。
 なのだが、高尾にはこれが夢の中なのだと理解出来ている。夢の中なので、目と目で通じ合ってもおかしくない。シリアスが続きようも無いのは明白だった。
 おまけにやたらと声やら視界やらがリアルで、コレがあの噂に名高い明晰夢という奴だろうか。やーこいつは初めての体験だなあ、などと暢気に構えながら緑間と脳内会話でいちゃついていると、再び世界の外から、緑間の声が響いた。
 高尾。起きるのだよ――と。
 全く同じ声なので、壇上にいる緑間が言っているようにも聞こえるのが至極シュールだ。
 無論、高尾とてわかっている。この声が聴こえるということは、起床時間が訪れてしまったのだと。けれどこの明晰夢から目覚める方法がよく判らないし、そもそもまだ寝ていたい。大体、昨日は色々あって寝るのが遅かったのだ。
 解ってるけどあとちょっと、と高尾が夢の中で緑間に伝える。全くお前は仕方の無い奴なのだよと、呆れつつも優しい口調で言ってくれたすぐ直後。
 起きろ、高尾――と。
 いけない自分を窘める、厳しめな声が少しばかり遠くから響いた。
 うーん起きなきゃ不味いだろうか、と被告人席で悩んでいると、何故だかいきなり緑間がすっくとその場で立ち上がった。次いでひらり、オリンピックに出場するような体操選手もかくやというジャンプ力で、いきなり自分の眼前まで降りてくる。
 シックな判事服に身を包んでいたはずの緑間は、いつの間にか秀徳の学ランに姿を変えていた。高尾が目を瞬かせていると、不意に手首を取られる。ぐい、と持ち上げられた高尾の手には、どうしてだか携帯が握られていた。画面にチカチカ、赤いランプが灯っている。
 さっきまでの優しい目は何処へやら、すがめた視線で見下ろしてくる緑間が、ふっと口角だけで笑み、含みを込めた口調で囁く。
「人にここまでさせておいて、起きなかったら――わかっているな」
 その言葉は、外界から聞こえた緑間の声と、そっくりそのままステレオ音声で高尾の鼓膜を響かせた。



「……ふあ」
 生あくびをしながら高尾は、枕元の携帯を手に掴む。スピーカーからは、昨日自分が強請って録音させて貰った、愛しい恋人の声。
 起きろ、高尾。
 高尾。起きるのだよ。
 起きろ、高尾。
 人にここまでさせておいて、起きなかったら――わかっているな。
「わぁってるって……ちゃんと起きたっしょ」
 ぶつくさ文句を言いながらも高尾は、にへらあっと笑みを浮かべる。
 効果は然程でもなかったが、朝から好きな人の声が聴こえるのも良いかもしんない、と。高尾はしばらくの間アラームを聞いてから、音を切った。
タグ:緑間×高尾
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