2015年04月05日

【第42回フリーワンライ】新婚ごっこ 裏の裏の裏 黒子のバスケ 緑高 年齢操作

Twitterにてフリーワンライ企画様(@freedom_1write)が主催なさっていらっしゃる「深夜の真剣文字書き60分一本勝負」。主旨はこちらに詳しくありますが、簡単に言えば、直前に出された複数のお題を使って一時間制限で何か書きましょう、というもの。

文頭はやっぱりテンプレ文章(ryでお送りします。
先日、またもフリーワンライ企画に参加させて頂きました。

今回は黒バスから、緑高です。社会人設定ですが、オフラインで書いているシリーズの二人とは多分別軸です。本当はもうちょっとラスト色々書きたいことがあったのですが、あえなく時間切れで尻切れトンボ感が満載になってしまいました。いつまでも仲良く、それでいてどことなく悪友の雰囲気が残っている二人が大好きなのです。
相変わらず時間が足らず、ワンライ内で推敲・読み直し出来なかったので、恥ずかしながら助詞不足や表現被りなのをそのまま載せております。

そんな感じで続きは折り畳みです。

「ほい、お茶。……なんだよその顔」
「違うだろう」
「へ。何が」
 部屋着である紺のスウェット姿で、首を傾げた高尾は、恋人の物言いが理解出来ず、とりあえず状況から相違点を探す。
 仕事で疲れて帰ってきた同居人でもある恋人に淹れたお茶。中身は本日、かに座のラッキーアイテムである京都の宇治茶だ。湯飲みも緑間の愛用品だし、お湯の温度も茶葉が開く時間も、毎度のようにちゃんと計った。自分だってちょっと前に帰ったばかりだが、丁寧に気を配って淹れたこのお茶は、間違いなく美味しい筈だ。
 眉間にしわ寄せている恋人が、いったい何が気に入らなくてそんな顔をしているのか、珍しく本気で解らない。付き合いの長さは、高校時代から数えて十年ともうちょっと。コート上の相棒で親友だったその男と恋人として付き合い始めて、更に言えば一緒に暮らして数年が経つ。
 なので、大抵はツーカーで察することが出来るのだが。
「んー……んー?」
 唸っていると、ソファに座って足を組んでいた緑間が、腕を組んであからさまな溜息を吐いた。正直少しイラッとしたが、このままでは埒があかない。
 降参、と両手を挙げると、コホンと咳払いをした緑間がようやく口を開いた。
「その、何か一言無いのか」
 なるほどそういうことかと、高尾はその一言で把握した。
 言わんとすることはわからなくもないが、その程度で溜息を吐かれても。呆れたいのはこっちである。
「……そっからやんの?」
「了承したのはお前だ、高尾」
「あー、まあ、そりゃそうだけど。あー、えっと。――旦那様、お茶が入りました。お熱いうちにどうぞ」
「その物言いではまるでメイドのようだ。やり直せ」
「えー。注文が多いっつーの」
「俺の誕生日、なのだろう?」
 それを言われたら返す言葉が無い。
 ううんと首を捻ってから、高尾はなんとか言葉を紡ぎ出す。 
「……今日も仕事お疲れ様。お茶、どーぞ?」
「ああ」
 口元を綻ばせた緑間の様子をみるに、今ので満足のいく対応だったようだ。が、こんなのいつも思っていることだ。ハッキリいって、さっきと何が違うのか、高尾には全く判らない。
「どうせなら夫婦茶碗で飲みたかったが」
「贅沢いうなって。んなもん、流石に用意がねえよ」
 肩を竦め、高尾はどっかと緑間の隣に腰掛ける。
 本日は七月七日。恋人である緑間真太郎の誕生日だ。が、高尾は大事な大口契約が進行している上に四半期の決算前、緑間も医師として順調なキャリアを積んでいる半ばで、担当している患者が多い。互いに忙殺されていて、今日も帰りは二人して午前様ギリギリだ。なのできちんとしたお祝いはまた後日という話になっている。
 そんな中、帰宅してきた緑間に、先に帰宅していた高尾が玄関先で鞄を受け取りながら提案したのだ。せっかくの誕生日なのだから、何かして欲しいことがあるなら出来る限り何でもきいてやる、明日も仕事があるのだから、その範囲内でなら、と条件を付けて。
 疲れが溜まっているだろう腕や腰のマッサージとか、もしくは見かけによらずムッツリな緑間のこと、ベッドの中でするようなマッサージか。てっきりそんな案が返ってくるかと思っていたのだが。
「新婚さんっぽく振る舞うとか、何が正解かわかんねーよ」
「お前の想像する新婚夫婦で良い」
「さっきいちゃもん付けた癖に」
「それはお前が設定を忘れたからだ」
「悪かったって」
 舌をぺろりと出して謝ると、誠意が感じられないと頭を軽く叩かれた。
 そう言われても、と高尾は思う。年単位で一緒に住んでいる恋人。同性という障害を無視してその関係をあえて言葉にするならば事実婚だよな、と常々思っていたので、新婚と言われても今更感が拭えない。
「じゃあ逆に聞くけど、真ちゃんのいう新婚さんってどんなん?」
「それは……そうだな。起床時や出勤時、帰宅時にキスをする、とか」
「してるじゃん、毎回。時間合わないときは無理だけど」
「……帰宅時に鞄や背広を受け取ったり」
「さっきしたよな、俺」
「――ッ、お茶を出したときに労いの一言をだな」
「あー、それは忘れたな。でも、やっぱいつもと変わらないぜ」
「そうか」
 湯飲みを手にした緑間が、頷いてずずっと茶をすする。
「なんだよ。新婚さんして照れてる俺でも見たかったとか?」
「それもある」
「ははっ、マジで?」
「だが純粋に、お前と結婚したらどんな生活になるのか。高尾、お前は今と違うのか。少しばかり、疑似体験してみたかったのだよ」
「何言ってンだよ。法律的には無理だけどさ、もう真ちゃんと結婚してるようなもんじゃん。さっき真ちゃんが挙げた新婚さんの例だって、全部体験済みだろ? 今更だって」
「……そうだな」
 深々と頷いた緑間がゆっくり目を伏せ、長い睫毛が重なった。
 なんだろう。今日の緑間は、どこか変だ。上手く言葉にするのは難しいが、帰宅時――特に、高尾が件の提案をしてから。端々に緊張が見え隠れしているような気がする。
「高尾」
「ん?」
「今の生活が新婚のそれと変わらないと、お前は思うか」
「改めてそう言われると、俺らいい年していちゃいちゃし過ぎの気がしてくんだけど」
「俺が聞きたいのはそういう答えでは無い」
「……思うぜ」
「ならば――この生活を、お前との日常を、永遠にしても構わないだろうか」
 机に置いたままだった鞄を開け、緑間が一通の書類を取り出す。手渡されたそれを開くと、横文字の羅列が飛び込んできた。海外にも取引相手の居る高尾にとって、英語は慣れ親しんだ外語であるが、これは。
「真ちゃん、これっ……」
 手渡されたそれが何なのか、把握した高尾の顔にみるみる血が昇っていく。この書類は、日本では決して叶わない高尾の願いを現実にしてくれるのだ。それを緑間が手渡してくれたということは。
「生活は何も変わらない。だが、ごっこ、などではなく。正式にお前と婚姻を結びたい。俺の誕生日に、お前が欲しい。ついてきて、くれるか?」
 誕生日プレゼントのつもりで聞いた新婚ごっこなどという、希望の裏の、そのまた裏の裏にこんなサプライズが隠されていたなんて――回りくどいにも程がある、と思いもしたが、今は。
「それこそ今更だっつーの!」
 感極まって涙に濡れた瞳を見せたくなかった高尾は、そのまま緑間の首に飛びつくように腕を回した。
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