2015年03月14日

【第39回フリーワンライ】欠けた指輪 10年前の手紙 冷たい指 ペルソナ4 主花

Twitterにてフリーワンライ企画様(@freedom_1write)が主催なさっていらっしゃる「深夜の真剣文字書き60分一本勝負」。主旨はこちらに詳しくありますが、簡単に言えば、直前に出された複数のお題を使って一時間制限で何か書きましょう、というもの。

テンプレ文章でお送りします文頭ですが。
アンソロジーの原稿を三本終えたこともありまして、久々にフリーワンライ企画に参加させて頂きました。

今回はペルソナ4から。主人公×花村です。お題チョイスがこれでしたので、年齢操作注意。二人とも社会人です。主人公の名前は出てきませんが、多分自宅ゲーム番長。
P4Dの発表、PV、楽曲諸々と続々報じられる情報にものすごくわくわくしております。音ゲー自体も大好きなので、本当に楽しみで! 踊る番長と陽介が本当にもうっ……可愛いし格好良いし、何より二人で並んだダンスが最高です。りせちーもアイドルオーラが輝いているし、完二はパワフルで千枝ちゃんは健康美で、雪子は優雅で直斗は女性っぽく可愛くなってるし、クマと菜々子がとにかくちまちま可愛い。かなみんが踊る姿も楽しみですし、ストーリーがどんな展開なのかどきどきです。正直なところ、昨年はペルソナ4関連でちょっとしょんもりすることが多かったのですが、やっぱり大好きな作品だなあと。ジュネス感謝祭でも思いましたが、色んな事を乗り越えた特捜隊のみんなが元気に仲良くわちゃわちゃしてるのを見るのが本当に幸せなのです。これぞ王道ジュヴナイル。ありがとうございますアトラス様。店舗別の特典を見てからソフトの予約するつもりなのですが、二人がペアの処は流石にないかな……あったらもの凄く嬉しいんですけども。VitaはP4Gのときに買ったので本体同梱番を買うか悩ましいところ。

と、つい長々語ってしまいました。萌え語りを始めると止まらないのはヲタの性ですね……。
相変わらず時間が足らず、ワンライ内で推敲・読み直し出来なかったので、恥ずかしながら助詞不足や表現被りなのをそのまま載せております。

そんな感じで続きは折り畳みです。


「あれ。こんな時間まで残業かい」
「……ええ、ちょっと。立て込んでまして」
 今日は散々だった。自分では順調だと思っていたはずのプロジェクトに、終業間際で思わぬ穴が見つかったのだ。
 このプロジェクトは先日、体調悪化を理由に逃げるように辞めた人間が担当していたのを、俺が引き継いだばかりだった。該当箇所の穴は知らされていなかったのだから当然、責められる謂われはないし、周囲も酷い貧乏くじにいたく同情してはくれた。が、仕事である以上、空いた穴は塞がねばならない。週末のノー残業デーで早々に帰れるはずだったのが、深夜までかかる残業へと姿を変えたのだ。
「年度末だから、色々大変そうだねえ。多分、あんたで最後だよ。お疲れ様」
「ありがとうございます。それじゃまた、月曜日に」
 見知った警備の人相手でも社外秘は、特にトラブルは漏らせない。適当に言葉を濁しながら、社員証と通行証を兼ねたICカードをスキャンしてゲートをくぐる。それでも労ってくれたのは素直に嬉しく、警備の人に軽く礼を告げ、俺は会社を出た。
 右腕に嵌めた腕時計のバックライトを光らせる。文字盤が示す時刻は、既に終電間際だった。これは不味い、と早足で夜道を急ぐ。
 ――今日だけは、なんとしても早く帰るつもりだったのに。
 会社を出るまで、内心の激しい苛立ちを隠しおおせた自分を褒めてやりたい。
 だが今はその仮面もすっかり剥がれ、悔しさに歯がみしながら、俺はスーツの内ポケットに手を突っ込んでまさぐる。ああ、ちゃんとある。慌てて出てきたので、万が一にも落としていたら大変だ。安堵して俺は、再び歩く速度を速めた。
「……ったく、あいつは」
 競歩に近い速度で駅に向かいながら俺は、独りごちる。
 胸ポケットにしまってあるのは、一通の封書。受け取ったのは、今朝の事だ。 
 俺がポストを覗くのは、大抵帰宅時だ。新聞も取っていない一人暮らしなので、それで充分事足りる。なのだが、今日は何故か。本当に何となく。朝、会社へ向かうときにポストを覗いていった。
 するとそこには、昨夜なかったはずの封書が一通、投函されていた。飾り気のない、真っ白な封筒。チラシや仕事関係ならともかく、明らかに手紙の体をした郵便が珍しく、俺はそれに手を伸ばし――差出人の名前を見て、言葉を失った。
 花村陽介。それは、約十年前に突然音信不通となった相棒で親友で――恋人の名前だったからだ。
 朝から集合ポストの前で立ち竦んでいる俺を、たまたまマンションの管理人が見かけたらしく、声をかけてきた。金縛りからやや回復した俺は、呆然としながらも鋏を借りて、封を切った。多分、手は震えていたと思う。
 不思議なことに、中身は二重になっていた。つまり、封書の中に封書がもう一通。共にしっかり糊付けされているにもかかわらず、中の封書には消印が無かった。そちらの封も切ってから、管理人に鋏を返してポストを後にし、通勤の途中で俺は中身を見分した。
 誰かの悪戯などではない。学生の頃よく見た、少し癖のある彼の字だ。
 封書と同じく飾り気のない真白い便せんに書かれた内容を見て、俺は思わず足を止めた。
『こんな、試すようなマネしてごめん。でも俺は、このままお前と一緒に居て良いのか、迷ってる。この指輪をもっかい俺にくれる気があったら――』
 その先に記されていたのは、場所と日時。そして俺が当時送った、小さなムーンストーンが埋め込まれた指輪が入っていたのだ。年月を経た所為か、石は無くなっていた。
 どうして奴が俺の所在を知って。その上でこんな手紙を寄越したのかは解らない。
 けれど、記された日時が、年だけが違えど今日で。指定されているのが、ある意味で地域を限定しない場所なのだ。
「そんなの、行くに決まってるだろう……!」
 自分限定で姿をくらました恋人からの、今でも俺の心を占め続ける相手からの、何年も待ち侘びた便りなのだから。



 自宅最寄り駅の前には、ちょっとしたショッピングモールになっている、大型スーパーがある。マンション購入の決め手となったその店舗の名前は、俺にとって至極馴染みのある物だった。
 ジュネス、とロゴのある店の屋上。それが、指定された場所だった。時間的に開いているのは二十四時間営業の食料品フロアのみだが、俺の勘が間違って居なければ、居てくれるとしたら恐らく店の裏口あたりだろう。
 街頭の照らす薄暗い外壁を周り、やや息切れ気味に搬入口を目指す。電車は流石に立っていたが、ここまでほぼ休み無しで早歩きをしてきたのだ、無理もない。たまにジムへは行っているが、十代の頃とはちがうのをこんな時に痛感する。
 歩きながら押し寄せてくるのは、期待以上の不安だ。
 もう待っていないかも知れない。残業さえ無ければ、指定の時間には間に合った。屋上も開いていた。五時間以上も経っているのだ。もう、帰ってしまっていてもおかしくない。
 暗闇の中、従業員専用である搬入口の明かりが見えた。
 目を凝らして確認するが、辺りに人影も人の気配もない。
 心がつきりと痛む。肺が呼吸の仕方を忘れてしまったようで、胸が苦しい。気を緩めれば、今ここで涙腺が緩んでしまいそうだった。
 俺は――また、あいつを見失うのか。
 千載一遇のチャンスを逃がしたのか。
 この手に再び掴みかけたはずの手は、永遠にもう届かない。
 非常な現実に、はっ、と、息を吐いたその直後――小さく、短く。何処か迷いを感じさせるように、クラクションが鳴った。
 振り返った隣接している社員専用駐車場に一台だけ、ステーションワゴンが停まっている。ここからでは、車内は暗くて良く見えない。にもかかわらず、俺には確信があった。間違いない、絶対に。
 脱兎の如く、俺は車に向かって駆けた。急がないと、気が変わって出発でもされたら流石に追いつけない。
 運転席側の窓から中を覗くと、ハンドルに突っ伏した後ろ頭が見えた。ワックスでしっかりセットしているのは、今でも変わらないのか。襟足が少し短めでさっぱりしているのは、向こうも社会人だからだろうか。
 こんこん、とノックするとあからさまに肩がびくりと跳ねる。けれど開けてくれる様子はない。めげずに何度か繰り返していると、かちゃりとロックが外れた音がした。
 運転手は変わらずハンドルに突っ伏したままだ。
「……遅ぇよ」
「ごめん。急に残業になった」
 十年ぶりに交わす言葉が、まるで昨日約束していたような会話になっていることに、鼻の奥がツンとなる。
「嘘だよ。……来てくれると思わなかった。俺さ、実は上司から見合い薦められてて。でも、どうしてもお前のことが踏ん切り着かなくって、十年前お前に出せなかった手紙出して、これでダメだったらもう……いいかな、ってさ」
 何やら聞き捨てならないワードがあったが、今はそれよりも。
 未だ顔を見せようとしない彼の左腕をとって、やや強く引っ張る。躯はこちらへ向いたのに、頑固に俯き続けるのは、文字通り合わせる顔がないから、だろう。
 冷たくなった手を取って、手にしていた指輪を左手の薬指へ通した。
 ようやく、ゆっくりと。実に十年ぶりに、恋人の潤んだ瞳に俺が映る。
「手紙の返事だけど、俺はお前と居ることを望んでる。今までも、これからもずっと」
「――……ッ!」
 十年越しの返事を囁くと、堪えきれずに陽介が抱きついて、嗚咽を漏らす。
 まだまだ問題は山積みで、聞きたいことも山ほどあるけれど。
 ようやく取り戻した温もりに、俺は心底幸せを感じていた。
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