2015年02月09日

【第36回フリーワンライ】一番最初の記憶 刀剣乱舞 岩融+今剣

Twitterにてフリーワンライ企画様(@freedom_1write)が主催なさっていらっしゃる「深夜の真剣文字書き60分一本勝負」。主旨はこちらに詳しくありますが、簡単に言えば、直前に出された複数のお題を使って一時間制限で何か書きましょう、というもの。

冒頭はやっぱり毎度お馴染みテンプレ文章で。
先日、久々にフリーワンライ企画に参加させて頂きました。

今回は、最近始めました刀剣乱舞から岩融さんと今剣ちゃん。お名前だけですが、燭台切さん。カプ要素は特にありません。史実を踏まえたちょっぴり切ない、ほのぼの話です。
ゲームの方はマイペースに進めておりますが、5-4で散々賽に振り回されてボスに到達できないので、専ら育成ばかり。ちまちま資材を備蓄しつつ、レベリングの毎日です。もっとも艦これの冬イベントが始まりましたので、今はそちらの方に力が入っておりますが。どちらも原稿の合間に進めている感じです。
蒐集率はあと厚君だけでコンプリートなんですが……! ちなみにご贔屓は蜻蛉切さん。頼りがいのある忠義従者タイプで敬語なのに、戦ではとんでもなく男前とか最高です! あとは岩融さんと今剣ちゃん含む、チーム三条+平安生まれの鶴さんが大好きです。最近御手杵さんがいらっしゃいまして、槍は二人ともいいですねー。(中の方繋がりでどこか木吉先輩を思い出すのは内緒です)日本号の実装が待たれるところ。
と、刀剣語りはそれくらいにして。相変わらず時間が足らず、ワンライ内で推敲・読み直し出来なかったので、恥ずかしながら助詞不足や表現被りなのをそのまま載せております。

そんな感じで続きは折り畳みです。



 一番最後の記憶は、紅。
 燃え盛る業火と、己を染め上げる主の鮮血。おびただしい朱一色の世界に包まれて、己の身体が高温に苛まれ、焼け、溶け、焦げていくのを感じ――そこで、ぷつりと途切れる。
 そうしていったい、どれほどの時が経ったのか。次に目覚めて一番最初の記憶は、見知らぬたたら場だった。



「いわとおしー!」
 廊下の向こうに巨躯を見つけた今剣が、小さな身体を野兎のように跳ねさせ、背後からその背に飛び乗った。元服前の小柄な童子とはいえ、駆け飛べば結構な勢いがあった。にも関わらず、のしかかられた側、岩融はびくともせずに今剣を受け止めた。
 よじよじ背を這い上り、首に細腕を回した今剣の頭をがしがし、豪快に撫ぜる。
「おお、今剣。燭台切と台盤所に行ったのではなかったか」
「……いきました」
 しゅん、としょぼくれた風な声にはどうにも覇気が無い。んん、と覗き込んだ顔は曇天そのもの。普段の今剣ならば、もっと爛漫な笑顔を見せてくれるのだが。
「どうしたどうした、まだ腹は膨れなんだか。それとも、出来るまで未だ時間が要るとでも言われたか」
 かつての主の影響か、燭台切は陣の中でも指折りの料理上手だ。昼餉だけでは足りないと言う今剣に、燭台切が「では追加で何か甘味でも作ろうか」と申し出でた。その彼についていったはず。
 満腹で帰ってきたなら笑顔になりこそすれ、暗い表情を見せる理由がわからない。よしんば思うような菓子にありつけなかったとしても、ここまで落ち込むような性分では無い。
 よいせ、と岩融は背へ腕を伸ばし、今剣の身体を抱え、正面から軽々抱き上げた。
 機嫌が悪いのとは違う。もしそうなら今頃このもち肌が、網に乗せて熱したように、ぷくりと膨れているからだ。
「どうした。燭台切に苛められたというなら、俺が代わりに、奴に仕返しをしにいってやろう」
「ちがいます!」
「そうだろうそうだろう」
 弾かれたようにぶんぶん首を振る今剣に向かい、がはは、と豪放に笑う。
 そんな岩融の様子に、きょとんと今剣が瞳を丸くした。
「当然だ。燭台切はそんな事をする男ではない。ならば今剣よ、お前の月を翳らせたのは何だ?」
「だいばんどころにいったら」
「おお」
「ほのお、が」
「……そうか」
 ぎゅう、としがみつき、首下へ埋めてきた今剣の頭を、今度は優しく撫でてやる。
「ほのおは、きらいです。いわとおしは、どうしてへいきなんですか」
「どうしてなあ」
「まえのしゅじんを、ぼくをやいたほのおなんて」
 顔を上げた今剣の潤んだ瞳が、ぶわりと決壊する。ひっくひっくと震える背中を、あやすように何度も撫でた。
 ああ、もう。このこどもに泣かれるのは、岩融にとって一番堪えるのだ。
「だがな今剣よ。炎は美味い飯を作ってくれるぞ」
「じゃあもう、ごはんたべません」
「それはいかんなあ。大きくなれん。良いのか?」
「……それはいやです」
 ぷくうと、今度こそ頬を膨らませた今剣を抱きかかえたまま、岩融は縁側にどっかと腰を下ろした。安寧そのものを体現した庭に、しんしん雪が降り積もっている。この世界は平和だ。
「今剣よ。主の――前の主が命を奪った炎が憎いか」
「だいっきらいです」
「けれどなあ。俺はやはり、炎が好きだ」
「どうして」
 何故岩融がそんなことを言うのか本当に判らない、と。顔にでかでかと書いた今剣が、瞳を潤ませたまま見上げてくる。
「それは、今のお前を産んだのもまた、炎だからよ」
 ハッと目を見開いた今剣の頑是無い頬にごつごつした手を添える。爪先で綺麗な肌を裂いてしまわぬように、気遣いながら撫ぜた。
「炎は生を奪い、命を破壊する。だが今剣、炎は命を産むことも出来るのだ。こうして再び今世で巡り逢えたのも、鉄を鍛えたたたら場の炎あってこそ。どうだ、これでもまだ炎は嫌いか」
「……いわとおしにあえたのは、ほのおのおかげですか?」
「おお、そうだとも」
 ううんううんと二度ばかり唸ってから、今剣が顔を上げる。
「それなら――まだ、きらいですけど。ちょっとだけ、ゆるしてあげることにします」
「お前も前の主に似て頑固よの」
 まったく、手が掛かる。けれどそんな今剣を今生も見守っていくと決めているのだ。その為ならば、どんな労苦も厭わないほどに。
「ほうれ、もう大丈夫ならば台盤所に行ってこい。燭台切が美味い甘味を作っているのだろう。待たせては、他の者に食われてしまうぞ」
「はいっ! いわとおしも、いっしょにいきましょう」
「おお。では俺もご相伴にあずかろう。このまま行くぞ」
 きゃっきゃとはしゃぐ今剣を抱きかかえたまま、岩融はよいせと立ち上がる。
 表情から翳りが消え、晴れやかに笑う今剣をみて、岩融は心から安堵の息を吐いた。
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