2014年12月15日

【第29回フリーワンライ】湯けむり 雪が降れば良いのに 緑間×高尾 年齢操作 BL注意

Twitterにてフリーワンライ企画様(@freedom_1write)が主催なさっていらっしゃる「深夜の真剣文字書き60分一本勝負」。主旨はこちらに詳しくありますが、簡単に言えば、直前に出された複数のお題を使って一時間制限で何か書きましょう、というもの。

冒頭をテンプレ文章で、というのがお約束になっております。
連日投稿になりますが、フリーワンライ企画に参加させて頂きました、前回分になります。

今回は黒バス緑高で書かせて頂きました。これまた前と同じく、オフラインで発行しております社会人シリーズの二人のような感じになりました。使わせて頂きましたのは「湯けむり 雪が降れば良いのに」の二つ。こんな風に過ごした年もあったんじゃないかな、とか。お題に「占いなんて信じない」があったのでそちらを使わせて頂こうと思ったのですが、どうしてかこうなりました。即興でクリスマスというイベントを書いてしまったので、オフラインできっちり書き直したい気持ちでいっぱいです。
そういえば前回のお話はpixivにUPするとき「緑の先、銀の答」と仮題を付けたのですが。今回のに仮題をつけるとしたら「緑の願、銀の雪」でしょうか。なんとなく。
相変わらず時間が足らず、ワンライ内で推敲・読み直し出来なかったので、恥ずかしながら助詞不足や表現被りなのをそのまま載せております。

そんな感じで続きは折り畳みです。

 鮮度をしっかり確認した真鱈と海老とハマグリは、鮮魚コーナーのおっちゃんと雑談するうち、すっかり気に入られたお陰でかなりお買い得になった。会話のノリで、今後もこの店ご贔屓にさせて頂きマースとか言ったら、おまけで牡蠣つけてくれちゃうとか。サービス良過ぎんだろあそこ。中途半端なあまりモンって言ってたけど、採算度外視じゃねーかな、あれ。
 鶏肉はとびきり美味いのを一つってスマイルしたら、担当のおばちゃんがニヤって笑ったからヤな予感したんだけど、出してきたのはなんと軍鶏。幾ら何でもたけーよそれって泣き真似したら、売り切りたいし買ってくれるならおまけするって言うからさ。まあ、モノが良いのは確かだし、クリスマスっつったらチキンじゃん。フライドじゃねえけど。だから奮発して決めたーっつったら、売ったーってこれまたノリ良いのなんの。なんだかんだ、結構割引してくれちゃったよ。
 春菊、白菜、椎茸に、あと長葱、舞茸。合いそうな野菜がごちゃっと纏めて叩き売られてたから、そいつも一緒に無事ゲット。あ、勿論鮮度は確認したぜ。豆腐は丁度、プチ物産展やっててさー。京都の美味しいお水で作りましたって湯葉と一緒に買ってきた。あ、そこで売ってたから葛切りも買った。マロニーちゃんじゃなくてもいいよな。一応用意してあるけど。
 まあ何処も彼処も閉店間際の所為もあるけど、お安いったらねーわ。あそこの店、質は良いけど高いじゃん。なのに予算の半額以下で鍋の材料が揃うとは、マジ思わなかった。世の奥様方がタイムセールや半額シールで必死になるわけだよなあ。


 がさがさと、買い物袋から戦利品を取り出しては、高尾が買い物の武勇伝をマシンガントークで語っていく。それを頷きつつ、大人しく聞きながら俺は、口を挟む機会を逸していた。
「っと。幾ら明日休みっつっても、喋ってたら食う時間どんどん遅くなっちまうか。んじゃ、俺鍋の用意しちまうな」
「ああ」
 今年のクリスマス当日は、お互いどうしても休みを合わせることが出来なかった。イブも同様だ。多忙を極める年末、社会人同士であればそんな事もある。ましてや高尾は商社に勤める営業、俺は大学病院の雇われ医師。予定通りの休日など、あって無きが如しだ。
 ましてやルームメイトと同居していると周囲に伝えているとはいえ、同性の恋人だと明言することは――俺は一向に構わないのだが高尾の社会性を鑑みて憚られる為、周囲からの扱いはあくまで独身男。祭日の予定については、家庭持ちが優先されるのは当然だ。
 だからこそ。少しばかり早いクリスマスを、今日のこの日に祝おうと決めていた。
 高尾は鍋の材料とその調理。俺はケーキとワインを担当した。当然、人事を尽くして最上の品を、俺は用意――したはず、だった。
 ああ、今日のおは朝占いでは、かに座は三位でさそり座は一位だったのだが。ラッキーアイテムである爪楊枝の本数が足りなかったのだろうか。
「真ちゃん、ケーキとワイン買ってきたんだよな。どっちも食後だし、しまっちゃってくんねえ?」
「――っ、あ、ああ。高尾、そのことなのだが」
 口籠もった俺の様子をおかしく思ったのか、包丁を片手に黒いエプロンを身に付けた高尾が振り返る。学生時代の頃のように、髪避けの為に赤いカチューシャをしているのが、とても、可愛らしくてムラムラ――している場合ではない。
「どしたん、真ちゃん」
「本当に申し訳ない。ケーキもワインも、用意することが出来なかったのだよ」
 深々と頭を下げた俺は、今日の出来事を振り返りながら語る。
 高尾が以前から憧れだと言っていたパティスリーの予約方法を同僚から何とか聞き出し、平日だったこともあって何とかそこのケーキを予約した。ワインは黄瀬あたりが詳しかろうと踏んであらかじめ相談し、手頃で上手いワインをネットで注文した。俺なりに、人事は尽くしたのだ。
 それが、ワインは年末の物流で到着が明日に延びてしまったと詫びのメールがあった。そればかりは仕方が無いので、同じ銘柄を探したのだが見つからず、しょうがなく急遽日本酒を用意した。酒店で薦められた品なので、良い物かの判断が出来ない。ティスティングをするかと言われたのだが、生憎車だったので無理だった。
 桐箱入りの日本酒を助手席に置き、デパートを出て一路パティスリーへの道を急ぎ、どうにかケーキは無事手に入れたと思った。
 だが今度は、同じケーキを手にした少女が俺の目の前で転んだのだ。箱が回転したうえひしゃげてしまっては無論、中身は最悪だろう。
 赤いカチューシャをした、ショートカットの少女は何処か、高尾を連想させた。その少女が泣きそうなのを見ていられず、俺はつい、声をかけてしまった。大丈夫か、と。気丈にも頷く少女が持っていたのは、ケロちゃんのポーチ。まさかと思い、星座を尋ねるとさそり座だという。ラッキーアイテムをキチンと身に付けているのに、不幸が訪れた少女を無下に出来ず、結局俺は、ケーキを少女に譲ってしまったのだ。
「……あー。そりゃ、まあなんつーか……しょうがないんじゃね?」
 俺の懺悔を聞きながら、材料をあらかた鍋に入れて下ごしらえを済ませた高尾が、タオルで手を拭きながら肩を竦める。
「俺だって真ちゃんそっくしの女の子が泣いてたら助けてあげちゃうし」
「そんな女児は居ない」
「それ言ったら俺そっくしの女の子ってのもねーから!」
 けたけた笑いながら、高尾がカセットコンロを用意する。このままでは何も手伝わずに終わってしまうと、俺は慌てて小鉢と箸、取り分け用のお玉、高尾専用の味付けであるキムチをテーブルに並べた。
「いいって。ケーキ食うだけがクリスマスじゃねえよ。クリスマスな雰囲気の夜に、真ちゃんとゆっくり過ごせるってのが大事なの」
「……だが」
「気にすんなって。良い酒買ってきてくれたんだろ? へへ、獺祭なら鍋にぴったりだし。流石真ちゃん」
「薦められるまま買ったからな。名前も碌に聞いていないのだよ」
「だっさい、って読むんだよ。最近メジャーになったけど、ちょっと前まで知る人ぞ知る名酒だったんだぜ? 知らないでそれ買ってくるのがすげーって」
 片目を瞑ってみせる高尾に思わず魅入られる。相変わらず、ちょっとした言葉や仕草で人を浮上させるのが上手い。高尾にとって営業は天職だと常々思う。その分、他の人間に深い意味で気に入られやしないか、いつも気に掛かって仕方が無いのだが。
「ほらほら、突っ立ってないで座って座って。早く食おうぜ。あー、せっかくだし有田焼のお猪口で飲んじゃうか」
「それは良いが……お前は、クリスマスをしたいと言っていたのではないのか? これでは、少しばかり贅沢な夕食なだけだ」
 どうしても、気に掛かってしまうのがそれだった。
 一見、言動が自由奔放に見えてこの恋人は、自分の我が儘というモノをあまり言わない。だから珍しく、高尾が「当日でなくって良いからさ、真ちゃんとクリスマスしてえなあ」と呟いたとき、俺はこれだと思ったのだ。
 燭台に挿したキャンドルに、星歌のBGM。壁に施したイルミネーション。部屋中に溢れかえる赤と緑。内装は完璧だった。食事も本当は洋風にしようと思ったのだが、高尾自身のリクエストで鍋になった。だからせめてと、ワインとクリスマスケーキを用意したかったのだが。
 当の高尾があまりにもケロッとしていて、拍子抜けする。
「……これでせめて、雪でも降っていればな」
「クリスマスらしさが増したのに、ってか? 言うと思ったぜ」
 くつくつ。鍋が煮え、高尾が笑う。手渡された猪口に酒を注がれたので、俺も高尾に注ぎ返した。
「ホワイトクリスマスはお約束だろう」
「雪だろ。それが、あるんだなあ」
「は?」
 言っている意味が判らず、俺は首を傾げてしまう。
 ドヤ顔をした高尾が鍋掴みを装着し、ゆっくりと鍋の蓋を開けていく。
 湯けむりで曇った眼鏡をガラスを拭き取り、再びかけるとそこには――可愛らしい雪だるまが二つ、並んでいた。熱気で多少しなっていたが、片方には人参で出来たカチューシャ、もう片方は醤油で色つけされた、恐らく眼鏡。
 これは、どうみても。
「大根おろしで作ってみた。即興にしちゃ、上手く出来ただろ」
 語尾に音符マークがつきそうな口調で、悪戯が成功したような子供のような顔で、高尾が嬉しそうな笑みを浮かべる。
「ハッピーメリークリスマス、真ちゃん。俺のこと食べても良いから、俺も真ちゃん食べていーよな?」
 つん、と菜箸で自分を模した雪だるまを突く高尾を見て。
 ご期待通り、今晩は好きなだけ喰らって喰らわせてやろうと強く、決意した。
タグ:緑間×高尾
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